オウンドメディアを運用しているものの成果が表れない、これからオウンドメディア施策を講じたいものの、成功につながるイメージが湧かない、といった悩みを抱えていませんか?オウンドメディアを成功させるには、コンテンツマーケティングの基本的な進め方と効果を高めるためのポイントを押さえることが重要です。
今回は、オウンドメディアを成功に導く5つの要素と、成果が挙がるコンテンツマーケティングの7ステップについてわかりやすく解説します。オウンドメディアの成功率を高めるための注意点もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
はじめに、そもそもコンテンツマーケティングとは何かを整理しておきましょう。コンテンツマーケティングに取り組む根本的な目的や、オウンドメディアとの関係を押さえることが大切です。
コンテンツマーケティングは、Web集客を実現するためのマーケティング戦略の一手法です。直接的に商品やサービスを訴求する広告とは異なり、有益なコンテンツを提供することで自社やブランドの認知度向上・信頼の醸成を目指す取り組みを指します。
自社の商品やサービスを紹介するLPを制作したとしても、企業名や商品名で直接検索する見込み顧客はごく一部です。新規顧客を継続的に獲得していくには、現状は自社やその商品を認知していない層や、自分自身のニーズに気づいていない層にもアプローチしていく必要があります。こうした潜在層も含めてアプローチできる点が、コンテンツマーケティングの大きな特徴です。
高度情報社会と呼ばれる現代社会においては、誰もがPCやスマートフォンで必要な情報を得られるようになっています。不特定多数を対象としたマス広告の影響力が弱まりつつあることから、1人ひとりのニーズに寄り添った施策が求められているのです。「欲しい」「必要」以前の段階である「認知」を促す上で、コンテンツマーケティングは重要な施策となっているのです。
前述の通り、コンテンツマーケティングとは有益な情報を届けることで認知向上や信頼醸成を促進する施策です。この「有益な情報を届ける」ために多く用いられている媒体がオウンドメディアと捉えてください。
本来、オウンドメディアとは自社メディア全般を表す言葉です。会社案内や商品カタログなども、広い意味ではオウンドメディアに含まれます。ただし、あえてオウンドメディアと呼ぶ場合、コンテンツマーケティングを実行するために運営されている自社のWebサイトなどを指すケースがほとんどです。
オウンドメディアを成功させる上で必須の要素について解説します。コンテンツマーケティングに取り組む目的に即してオウンドメディアを運営していくことによって、成功確度を高められるでしょう。
コンテンツマーケティングの柱は「コンテンツ」であることから、魅力的なコンテンツを企画・制作していくことが大切です。ただし、ここでの「魅力的」とはあくまでも見込み顧客にとって魅力的であるかどうかを指している点に注意してください。自社が伝えたい情報に固執するのではなく、ユーザーニーズに即しているかどうかを重視する必要があります。
コンテンツ企画で陥りやすい誤りとして、「自社にとっての当たり前」を基準に検討を進めてしまうことが挙げられます。その分野に精通した担当者にとっての常識と、ユーザーにとっての常識の間にはギャップが見られるケースが少なくありません。初心者向けにわかりやすく情報を届けることも、潜在層に訴求する上で重要なポイントといえます。
コンテンツ制作を進める際には、常に自社のブランディング戦略とひも付いているかどうかを確認する必要があります。オウンドメディアはブランディングを実現するための施策の1つでもあるため、ブランディングの方向性と相反するコンテンツになっていないか注意を払わなければなりません。
たとえば、消費者の所有欲に訴える高価格帯の商品ラインアップを打ち出しているブランドが、オウンドメディアでは「〇〇を安く購入するには?」といったコンテンツを発信していたとすれば、ブランドイメージを毀損しかねないでしょう。1つひとつのコンテンツがブランディングの方向性と一致しているか、注意深く精査することが大切です。
有益な情報を提供するコンテンツを制作していくことも重要ですが、同時に「目を引く」コンテンツであるかどうかも重視しましょう。オウンドメディアを初めて訪れたユーザーにとって、そのメディアが発信している情報が有益かどうかを即座に判断するのは困難です。まずはユーザーの注意を引き、目を通してみようと思ってもらう必要があります。
ユーザーの目を引くオウンドメディアにするには、魅力的なビジュアルコンテンツが欠かせません。アイキャッチ画像をはじめ、コンテンツ内の画像・動画を効果的に配置することで多くのユーザーに興味をもってもらうことが大切です。
クイズやアンケート、コメント欄といったインタラクティブ要素を盛り込むのも効果的な方法です。ユーザー側から見た場合、情報発信に終始しているオウンドメディアは、たとえ掲載されている情報が有益なものだったとしても、やや一方的な印象を抱きがちです。ユーザー自身が考えたり、意見や感想を伝えられる仕組みを設けたりすることで、より当事者意識をもってオウンドメディアとの接点を築きやすくなるでしょう。
たとえば、SNSのシェアボタンを設置することもインタラクティブ要素に含まれます。有益だと感じたコンテンツがシェアされることで情報が拡散されるだけでなく、シェアしたユーザー自身の記憶に残りやすくなるはずです。
オウンドメディアのコンテンツは公開して終わりではなく、公開した時点から新たな段階に入ると捉えてください。
ユーザーの反応を見ながらコンテンツをブラッシュアップし、改善を図っていくことが重要です。
たとえば、PV(ページビュー)やUU(ユニークユーザー)数が一定水準に達しているにもかかわらず、CV(コンバージョン)につながっていない場合、何らかの原因があると考えられます。
【CVが伸び悩む原因の一例】
・途中離脱するユーザーが多い(最後まで読まれていない)
・検索意図に応えるコンテンツになっていない
・一般論や他サイトにも見られる情報に終始している(独自性が低い)
・CTA(行動喚起)のためのボタンやリンクがわかりにくい
・CTAが多すぎる・少なすぎる・設置する位置が適切でない
原因を特定し、改善を図るには試行錯誤を繰り返す必要があります。効果測定とブラッシュアップを繰り返し、PDCAサイクルを回して改善を図っていくことが大切です。
成果が挙がるコンテンツマーケティングを実現するには、どのような手順でオウンドメディアを構築・運用すればよいのでしょうか。具体的な手順を7つのステップに分けて見ていきましょう。
第一に取り組んでおきたいのは、ターゲットへの理解を深めることです。見込み顧客はどのような課題を抱えているのか、課題の本質はどこにあるのか、深く掘り下げていきましょう。
たとえば、最終的に「会計ソフト」を訴求することが目的のコンテンツマーケティング施策であれば、見込み顧客はどのような場面で「会計ソフトを導入したほうがよいかもしれない」と考えるのかを想定しておく必要があります。経理を限られた人員で担当しているため業務過多になりがちであったり、人的ミスが立て続けに起きたりしたことが一因であれば、本質的なニーズは「業務効率化」や「業務の属人化防止」であるかもしれません。表面的なニーズではなく、見込み顧客の本音を探ることが重要です。
ターゲット理解が深まったら、情報を届ける具体的な人物像を想定し、ペルソナ設定を行いましょう。「メーカー勤務・30代男性」といった大まかな設定ではなく、経歴やライフスタイル、パーソナリティーを詳細かつ具体的に想定し、実在する人物としてペルソナを設定することが大切です。
次に、ペルソナに向けて情報を届けるためのサイトコンセプトを検討しましょう。サイトコンセプトといっても、自社が発信したい情報を起点に考えてしまうと失敗する可能性が高いため注意してください。あくまでも見込み顧客が知りたい情報・興味がある情報を届けることが最優先です。
見込み顧客のニーズに合ったサイトコンセプトにするには、インテント(検索意図)を深く考える必要があります。知りたいこと・調べたいことを検索してたどり着いたコンテンツにおいて、求めている情報が得られるかどうかが重要です。サイトコンセプトづくりに迷いが生じた際には、「読者は何が知りたいのだろう?」「どのような状況で検索するのだろう?」と検索意図に立ち返って考えてみましょう。
オウンドメディア施策の前提として、見込み顧客が接する情報は自社メディアだけではない、という視点をもっておくことが大切です。他社のWebサイトやメルマガ、SNSといった複数の情報に触れた後、自社メディアを訪れているかもしれません。あるいは、自社メディアで情報を得たことがきっかけになり、さらに別メディアで情報収集を行う可能性もあるのです。
こうした見込み顧客の行動をカスタマージャーニーといい、それらを可視化したものをカスタマージャーニーマップといいます。見込み顧客はどのような経路をたどって資料請求や問い合わせに至るのか、具体的に想定しておきましょう。ここでカスタマージャーニーマップを作成しておくことにより、目的を達成するまでの導線を設計しやすくなるはずです。
オウンドメディアとしての目的を達成するために必要な指標を具体的に定めておくことも重要なポイントの1つです。オウンドメディア施策によって達成したい最終的な目標(KGI:重要目標達成指標)を定めた上で、KGIを達成するために必要な各指標(KPI:重要業績評価指標)を設定していきます。
オウンドメディアの成長に合わせて、設定するKPIを見直していくことも大切です。たとえば、オウンドメディアの立ち上げ期においては、制作・公開するコンテンツの本数などタスク寄りのKPIが適しているでしょう。徐々にアクセスが集まるようになってきたら、PVやUUといった指標を重視します。一定数のPVやUUが確保できるようになったら、CVへとKPIの軸足を移していく、といった考え方で進めていくのがおすすめです。
ペルソナ設定・サイトコンセプト・カスタマージャーニーマップを元に、オウンドメディアのサイト制作とコンテンツ制作を進めていきましょう。サイトコンセプトにもとづく構成・デザインのサイトにするのはもちろんのこと、サイトを訪れた見込み顧客にとってどこを見れば必要な情報が収集できるのか、より深く知るには次にどのページに遷移すればいいのか、わかりやすいサイト設計にすることが重要です。
コンテンツ制作を進める際には、まず基点となるキーワードを決めます。キーワードの検索ボリュームを元に検索ニーズをリサーチし、基点キーワードと関わりの深いサブキーワードを決めていくのが基本的な進め方です。キーワードが決まったら、キーワードを軸に記事のタイトル・構成を考え、本文の執筆に取りかかります。
オウンドメディアと他メディアを連携させることにより、集客の相乗効果を得られます。自社のSNSアカウントがあるようなら、オウンドメディアで公開したコンテンツをSNSでも積極的に紹介しましょう。一定数の読者を確保できているメルマガ内に、オウンドメディアの紹介や記事リンクを掲載するのも有効な方法です。
検索経由でオウンドメディアを訪問するユーザーと、SNSやメルマガなどの他メディアを閲覧するユーザーは必ずしも一致していません。オウンドメディアを他メディアと連携させることで、新たな見込み顧客を取り込めるチャンスが広がるでしょう。
オウンドメディアのコンテンツは公開して終わりではなく、むしろ公開した時点がスタートです。公開後は効果測定を行い、必要に応じてコンテンツをリライトしましょう。反応の良いコンテンツがなぜ良い反応を得られたのか、逆に反応が鈍いコンテンツはなぜあまり読まれないのか、原因を分析して対策を講じていくことが大切です。
効果測定にはアナリティクスやサーチコンソールの他、専用の分析ツールを活用する方法もあります。コンテンツのリライトは根気のいる作業ですが、新規コンテンツの制作と並行して計画的に進めることにより、掲載している情報が古くなったり、成果が挙がっていないコンテンツが放置されたりするのを防ぐ効果が期待できます。
オウンドメディアの成功率を高める上で、注意しておきたいポイントを紹介します。コンテンツマーケティングの目的を見失わないためにも、次の4点を意識してオウンドメディアを運営していくことが大切です。
オウンドメディア施策はコンテンツが自社の資産となるため、長期にわたって成果を得られる施策です。一方で、オウンドメディアを立ち上げれば即座に効果が得られる施策ではないことから、焦らずじっくり取り組むことが求められます。
良質なコンテンツの制作・発信を積み上げ、見込み顧客の反応を見ながら改善を重ねていくためには、年単位で運営計画を立てておく必要があるでしょう。オウンドメディアの運営に携わる担当者自身が「時間がかかる施策」であることを十分に理解しておくのはもちろんのこと、短期間で顕著な成果が期待できる施策ではない点を社内に周知し、理解を得ておくことが大切です。
オウンドメディアのコンテンツは公開後に放置するのではなく、効果測定を継続しつつ必要に応じて定期的に更新(リライト)することが重要です。PVやCVが伸びていないコンテンツについては、原因を検証した上で質を高めていく必要があります。また、掲載している情報が古くなっていないか、定期的にチェックしていくことも大切です。
定期的な記事の更新は、常に最新の情報を発信するという意味においても、検索エンジンの評価を高める意味においても重要な施策といえます。新規コンテンツの制作とあわせて、リライトについても運営計画にあらかじめ盛り込んでおくのが得策でしょう。
サイト全体の構成やデザインについても、見込み顧客の反応を見ながら適宜改善しましょう。たとえば、サイトの表示速度は高速か、関連記事の内部リンクは適切な位置・表示方法で設置されているか、記事カテゴリが見やすくまとまって表示されているか、どのデバイスでも支障なく表示できているか、といった点を随時確認し、ユーザー目線でオウンドメディア全体をチェックしていくことが大切です。
せっかく有益な情報を発信していても、ユーザー体験の面で重大な欠陥が見られると、オウンドメディアを再訪しないユーザーが一定数現れることも想定されます。コンテンツの品質と同様に、ユーザー体験の向上を常に意識していく必要があるでしょう。
オウンドメディアの運営を継続するには、運用に必要な体制を整え、リソースを確保しておくことが大切です。コンテンツの企画から制作、公開までのプロセスだけでなく、効果測定やリライト、KPIに対する進捗管理なども含めると、相応のリソースの確保は必須といえます。可能な限りオウンドメディアの専任担当者を配置し、運営に専念できる環境を構築しておくのが望ましいでしょう。
必要なリソースを社内で確保するのが困難な場合には、外部委託も視野に入れて検討することをおすすめします。コンテンツ制作をはじめ、コンテンツ企画や効果測定、改善策の提案・実行も含めてトータルに委託できる運用代行サービスを活用することにより、最小限のリソースでオウンドメディアの運用が可能になるからです。
オウンドメディアはコンテンツマーケティングの主要な施策の1つです。よって、オウンドメディアの成功確度を高めるにはコンテンツマーケティングの特性や取り組む目的を十分に理解しておく必要があります。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひオウンドメディア施策を成功へと導いてください。オウンドメディアが集客に寄与するようになれば、広告に依存しないビジネスモデルへの転換を図っていけるはずです。