オウンドメディアの成長にSEO対策が欠かせないことはわかっているものの、具体的にどのような対策を強化するべきか迷っていませんか?SEO対策は講じるべき施策が多岐にわたるため、何から着手したらよいのか迷ってしまうケースも多いでしょう。
今回は、オウンドメディアを成長させるSEO対策について、基本的な考え方と具体策を紹介します。オウンドメディアの構築・運用時に分けて、効果の高い対策を押さえておきましょう。
そもそもオウンドメディアにおけるSEO対策は、どのような位置づけで捉えればよいのでしょうか。SEO対策を講じる目的やSEO対策のメリット・デメリットについて解説します。
SEO対策とは、検索結果に上位表示させることにより集客する施策です。主要な目的は「集客」ですが、オウンドメディアに集客する方法はSEO対策だけではありません。オウンドメディアの主な集客方法には次のものが挙げられます。
・SEO対策
・SNSの活用
・Web広告
・メルマガ
・プレスリリース
・動画プラットフォーム
・インフルエンサーの活用
・オフラインでの告知
上記の通り、SEO対策はオウンドメディアに集客する方法の1つと捉える必要があります。より多くのユーザーにオウンドメディアを訪れてもらうための手段は、SEO対策以外にもあるという点を押さえておくことが重要です。
Googleなどの検索エンジンで検索結果として表示される領域は、「広告」と「オーガニック検索」の2つに分けられます。SEO対策は、このうちオーガニック検索領域での上位表示を狙うための施策です。つまり、ユーザーが知りたいと考え検索したキーワードに対して「ここにその情報がありますよ」と伝えることが、SEO対策を講じる主な目的といえます。
多くのユーザーが検索するキーワードで上位表示を獲得できれば、長期にわたって集客効果を上げられる可能性があります。広告費の投下を停止すれば効果が失われてしまうWeb広告施策とは異なり、継続的な集客効果を得られる点がSEO対策の特徴です。
SEO対策を講じるメリットを端的に表すとすれば、「強いオウンドメディア」を築けることに尽きます。公開したコンテンツを削除しない限り、検索経由で継続的な集客効果を見込めるのです。
反対に、SEO対策には「即効性に欠ける」というデメリットがあります。SEO対策の手法は多岐にわたりますが、何か1つの施策を講じたからといって即時効果が現れるものではありません。短期的に集客できるような「魔法のメソッド」は存在しないことを念頭に置き、オウンドメディア全体の総合的なSEO対策を粘り強く講じていく必要があります。
オウンドメディアのSEO施策には、大きく分けて3つの種類があります。テクニカルSEO・コンテンツSEO・外部対策の違いを押さえて、講じるべきSEO対策のイメージをつかみましょう。
テクニカルSEOとは、検索エンジンの評価を高めるためにWebサイト内で講じる内部施策のことを指します。検索エンジンのクローラーがWebサイトのページを見つけやすくするためのクローラビリティ対策や、クローラーにページの趣旨や内容を認識してもらうためのインデックス対策、検索結果の順位を改善するランキング対策などが主要なテクニカルSEOの施策です。
技術面で講じるべき対策というイメージが強いテクニカルSEOですが、実は最も重視すべきことはユーザービリティです。ユーザーにとって見やすく、必要な情報を探しやすいWebサイトの構造や構成を意識することにより、自ずとテクニカルSEOで講じるべき施策が見えてくるでしょう。
コンテンツSEOとは、ユーザーにとって有益な高品質のコンテンツを制作・発信することで検索エンジンの評価を高める施策をいいます。ユーザーの検索ニーズに応えるコンテンツを提供するには、適切なキーワード選定とキーワードを軸としたコンテンツ制作が欠かせません。
ユーザーにとって、知りたい情報が特定のWebサイト上にすべて記載されているほうが、複数のWebサイトを苦労して調べるよりも利便性が高いといえます。記事内でユーザーが知りたがっている情報を漏れなく伝えられる網羅性を意識することが重要です。
外部対策とは、オウンドメディア以外の外部媒体を経由してユーザーに訪問してもらうための施策を指します。代表的な施策の1つが、外部のWebサイトやSNSでコンテンツを紹介してもらい、記事のURLを貼ってもらう「被リンク」と呼ばれる手法です。訪問者の多いWebサイトなどにURLを貼ってもらうことで自社サイトへの訪問者が増えるだけでなく、有益なWebサイトとして検索エンジンからの評価も高まります。
多くのユーザーや外部サイトに被リンクを貼ってもらうには、他のユーザーにぜひ紹介したいと思ってもらえる有益なコンテンツや、見やすいサイト構成を追求する必要があります。被リンクを売買して人為的に増やすような行為は、かえって検索エンジンの評価を下げる原因となりかねないため避けましょう。
ここからは、オウンドメディアの具体的なSEO対策について解説していきます。はじめに、オウンドメディアの「構築」に関するSEO対策について見ていきましょう。
オウンドメディアの「住所」を表すURLは、できるだけ簡潔なものにするのが基本です。長すぎる住所では目的地を見つけにくいように、Webサイトも簡潔でわかりやすいURLにするほうが望ましいでしょう。コンテンツの内容が推測しやすいURLにすることで、ユーザーにとってもクローラーにとっても見つけやすいサイトになります。
また、https://www〜とhttps://〜の2種類のURLが併存しているような場合には、どちらか片方のURLに統一するのが得策です。URLの正規化により、クロールの分散を防ぎ検索エンジンの評価を効率よく高める効果が期待できます。
検索エンジンの評価を高める上で、Webサイトの安全性を高めるSSL化(暗号化)も欠かせない対策の1つです。SSL証明書をサーバーにインストールするか、契約中のレンタルサーバーでSSL証明書の発行を受け、「https」で始まるUTRを取得してください。
ユーザーにとって必要な情報を見つけやすいWebサイトは、検索エンジンからの評価も高まりやすい傾向があります。サイトを構造化することにより、トップページから各カテゴリ、さらにはカテゴリから各コンテンツへと至る道筋をわかりやすくすることが重要です。
また、Webサイトの構造とページ内容を伝えるためのXMLサイトマップを作成し、登録しておくのも欠かせないポイントといえます。検索エンジンはXMLサイトマップを参考にWebサイト内をクロールすることから、適切なXMLサイトマップを登録しておくことが大切です。なお、XMLサイトマップを作成すれば検索順位が上がるというものではなく、見やすく情報を探しやすいWebサイトの構造にすることが前提となります。
表示速度とは、ページの内容が完全に表示されるまでにかかる時間のことです。Googleではページの読み込み速度も加味して検索順位を決定しているため、コンテンツの評価が同程度であれば、表示速度がより速いサイトを高く評価する可能性があります。
たとえば、不必要に大きなデータサイズの画像を掲載するのを避けることや、HTMLやCSSのファイルサイズを圧縮することも、表示速度の最適化に寄与します。表示速度の最適化は、ユーザービリティの改善・検索エンジンの評価向上のどちらの観点においてもメリットのある施策です。
スマホ表示の最適化が図られているかどうかも、検索エンジンの評価に影響を与える可能性があります。レスポンシブデザインを適用し、PC・スマートフォンのどちらでも見やすく表示されるよう対策を講じましょう。
デバイスを選ばず見やすい表示にすることで、ユーザーのストレスを軽減する効果が期待できます。結果として離脱率の低下につながることから、Webサイト全体の評価を高められるのです。
ユーザビリティ向上を図る上で、パンくずリストの設置は不可欠といえます。パンくずリストとは、ユーザーが現在閲覧しているページの場所を表すリンクのことです。以下は、パンくずリストの一例を示しています。
【パンくずリストの例】
トップページ > カテゴリ > 記事タイトル
パンくずリストを設置することで、ユーザーにとってWebサイトの構造を直感的に把握しやすくなります。パンくずリストは検索エンジンのクローラーも参照することから、インデックスが最適化される効果も期待できるでしょう。
ユーザーがどのような考えで検索しているのか、検索意図(インテント)を十分に分析することが重要です。検索ボリュームが大きいキーワードを機械的にピックアップしただけでは、ユーザーがどのような目的・意図でそれらのキーワードに関心を寄せているのか判断できません。インテントのタイプ(検索クエリ)には、大きく分けて次の4種類があります。
【検索クエリの種類】
・Go:行きたい
・Do:したい
・Know:知りたい
・Buy:購入したい
検索クエリに合った情報提供やCTA(Call To Action:行動喚起)を行うことは、オウンドメディア施策の効果を高めるための重要なポイントです。検索意図を分析した上でキーワードを選定しましょう。
次に、コンテンツごとのタイトルを設定していきます。コンテンツの主眼となるキーワードをタイトルの先頭付近に配置する・サブ(関連)キーワードや共起語(キーワードと一緒に使われやすい言葉)を組み合わせるといったテクニックはあるものの、最も重要なことはユーザーにとっての読みやすさ・内容の判別のしやすさにあると捉えてください。競合サイトよりも上位表示させようとキーワードを詰め込んだ結果、意味が通じないタイトルになってしまうようでは本末転倒です。
タイトルを設定する際のポイントは、ユーザーにとって「この記事を読めば必要な情報を得られそうだ」と思ってもらえるよう意識することです。ユーザーの視点に立ち、読みやすくニーズに合ったタイトルを設定しましょう。
設定したタイトルごとにコンテンツを制作していきます。ユーザーが知りたい情報が網羅されるよう、上位サイトのコンテンツを参考にしつつオリジナリティのあるコンテンツを制作しましょう。
ここでも必ず意識しておきたいポイントとして、ユーザーにとって役立つ情報かどうかという点が挙げられます。たとえば、タイトルと文章の内容が一致していない場合、ユーザーから見ると「知りたい情報がどこにも書かれていない」ことになります。こうしたコンテンツはユーザーの信頼を損なうだけでなく、検索エンジンの評価も下げる要因となるため注意してください。
コンテンツが一定数ストックされてきたら、関連性の高いコンテンツの内部リンクを設置しましょう。内部リンクとは、同一サイト内の別ページに遷移するためのリンクのことです。関連性の高いコンテンツの内部リンクを設置することで、より多くの情報を得たいというユーザーのニーズに応えられます。
また、検索エンジンのクローラーも内部リンクを辿って巡回することから、適切な内部リンクを設置すれば素早くインデックスがされやすくなります。一方で、関連性の低いページの内部リンクを設置するとユーザーを混乱させるだけでなく、検索エンジンの評価も低下させる原因となるため注意しましょう。
コンテンツを公開後は、必ず効果測定を行いましょう。後述するキーワード順位やCTR(クリック率)、CVR(コンバージョン率)などの動向をチェックし、効果が得られているコンテンツとそうではないコンテンツを見極めていくことが大切です。
効果が出ていないコンテンツに関しては、必要に応じてリライトすることをおすすめします。検索意図とのずれがないか、競合サイトと比べて情報の偏りや不足がないか、最新の情報が反映されているかといった点を検証し、ブラッシュアップしていくことが重要です。効果測定とリライト、さらにリライト後の効果測定を繰り返し、PDCAサイクルを回していきましょう。
SEO対策の効果を測定する際、よく使われる指標を紹介します。複数の指標を組み合わせて活用することで、SEO対策の効果を多面的に評価することが大切です。
選定したキーワードで検索結果の上位表示を獲得できているかを表す指標です。Googleサーチコンソールの「平均掲載順位」や、「BULL」「AZC」「GRC」といった専用ツールを活用することにより、検索順位を調べられます。
キーワード順位は日々変動するため、順位の上昇・下落を注視していく必要があります。キーワード順位が変動する要因は複数ありますが、検索エンジンのアルゴリズムがアップデータされた時はとくに注意が必要です。また、検索意図の変化やコンテンツの情報が古くなっていることなどもキーワード順位が下落する原因となります。上位表示されているからといって安心せず、効果測定とリライトのPDCAサイクルを回し続けることが大切です。
検索経由でどれだけのユーザーがWebサイトを訪問しているかを示す指標です。Googleサーチコンソールの場合、検索パフォーマンス>検索結果>合計クリック数を閲覧することでGoogle経由での流入数が確認できます。
全体のセッション数とともに確認しておきたいのが「オーガニック検索数」です。オーガニック検索数が上昇傾向にあれば、現状のSEO対策がおおむね正しい方向で講じられていると判断できます。後述するクリック率やコンバージョン数も重要ですが、まずはWebサイトを訪れるユーザー数を確保しなければ成果も見込めません。キーワード順位・セッション数は常に確認しておくべき指標と捉えてください。
クリック率(CTR)とは、検索結果に表示された中でどれだけのユーザーがサイトを訪問しているかを表す指標です。Googleサーチコンソールでは検索パフォーマンス>検索結果>平均CTRでクリック率を確認できます。
上位表示されているコンテンツのクリック率が低い場合には、検索結果に表示されるタイトルやメタディスクリプション(記事の概要)を見直す必要があります。ユーザーが得られるベネフィットが十分に伝わるタイトルになっているか、メタディスクリプションにキーワードが効果的に盛り込まれているか、といった点を確認してみましょう。
コンバージョン(CV)とは、コンテンツが意図する最終的な成果のことを指します。たとえば、資料をダウンロードしてもらうことが目的であれば、ダウンロード回数=コンバージョン数です。
セッション数やクリック率の状況が良好であるにもかかわらず、コンバージョン数が低いということは、ページを訪れたユーザーの満足度が低かったり、それ以上詳しい情報を求めていなかったりする可能性があります。あるいは、ユーザーの行動を促すCTAの設置場所が適切でなかったり、CTAの表示方法がわかりにくかったりすることもコンバージョン数が低迷する原因となりがちです。集客したユーザーをしっかりと取り込めるよう、CTAへの誘導方法やCTAの設置方法を見直しましょう。
これまで紹介してきたSEO対策に関する基本を踏まえて、オウンドメディアの成長に必要な考え方をまとめました。次の3点を押さえて運営していくことで、オウンドメディアの着実な成長を目指せるでしょう。
冒頭でお伝えした通り、SEO対策は数ある集客方法のうちの1つです。SEO対策を適切に講じていくことはオウンドメディアを構築・運営する上で重要なポイントではあるものの、さまざまなリスクも孕んでいることを念頭に置いて取り組む必要があります。
【SEO対策のみに依存するリスク】
・検索エンジンのアップデートに伴い検索順位が大きく変動することがある
・良質なコンテンツを継続的に制作する必要があるため、多くのリソースが必要
・効果が現れるまでに時間を要する
上記のリスクを回避するためにも、SEO対策のみで集客成功を目指すのではなく、さまざまな施策を同時並行で進めていくことが重要です。SNSやWeb広告、メルマガなどの施策もあわせて講じていくことをおすすめします。
SEO対策はバランスが重要です。多くのユーザーを集めるには興味を引くコンテンツを公開していく必要があるものの、集客するだけでは成果につながりません。コンテンツに信頼を寄せ、意図するアクション(資料請求・問い合わせなど)につなげる必要があります。ただし、ユーザーごとに購買意欲の段階はまちまちです。
【想定されるユーザーニーズの例】
・当面は情報を収集しておきたい
・社内で抱えている課題を解決するためのヒントを得たい
・複数の製品やサービスを比較・検討したい
・導入済みの製品・サービスに対する不満を解消したい
さまざまなニーズに応えられるよう、ユーザーのパターンごとに導線を設計しておくことが重要です。「取りこぼしているユーザー層が存在するかもしれない」という視点でCTAの改善を重ねていくことが求められます。
SEO対策におけるKPIは、オウンドメディアの成長とともに変化していきます。下記は主なKPIの一例です。
【KPI設定の例】
・コンテンツを公開する件数・頻度
・同ジャンルにおける検索順位
・セッション数
・UU(ユニークユーザー)数
・クリック率
・CTAクリック率
・製品・サービスLPへの遷移数
・コンバージョン数
一般的にオウンドメディアを立ち上げたばかりの頃はセッション数が少ないことから、まずはコンテンツの制作数や公開頻度をKPIに設定するのが望ましいでしょう。集客の効果が現れ始めたらセッション数やUU数へとKPIの軸足を移し、徐々にCTAやコンバージョンも気に掛けていくと効果的です。
オウンドメディアを成功させるには、SEO対策は不可欠な取り組みといえます。同時に、SEO対策は中長期的に継続するべき取り組みであり、他の集客方法も並行して進めていくことが大切です。SEO対策の目的や得られる効果について正しく理解し、オウンドメディアの成長段階に合った施策を講じていく必要があります。
今回紹介したSEO対策の考え方と具体策を参考に、ぜひオウンドメディアの成長を実現させてください。オウンドメディアが着実に成長を遂げることにより、強力な集客ツールとして効果を発揮するようになるはずです。