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パブリックリレーションズ(PR)とは?「調査PR」でリリース掲載数を伸ばす

作成者: 竹内 友香|Mar 20, 2024 11:00:00 PM

パブリックリレーションズ(PR)を行う企業にとって、自社のリリースがどれだけのメディア媒体で転載されているかは、非常に重要な成果指標です。PR担当者の多くは、文章表現や発信のタイミングを調整したり、メディアリストのブラッシュアップをしたり、メディア担当者と関係構築をするなど、さまざまな努力をしています。しかし、期待するほどメディアの注目を集められず、悩んでいる方が多いのではないでしょうか。PR戦略を正しく理解すれば、リリース掲載数は着実に伸びます。本記事ではPR戦略について概説し、「調査PR」という手法について詳しく解説します。

パブリックリレーションズ(PR)とは

PRPublic Relations)は日本語に直訳すると「公衆との関係」です。こう聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、非常に重要な活動です。少しかみ砕くと「顧客だけでなく、さまざまなステークホルダーとコミュニケーションを行い、理想とする関係を構築する活動」となります。要約すると、社会における自社のポジションを理想に近づける活動といえるでしょう。

単体では発信力に限界があるため、多くの企業はメディアの発信力を借りて、より多くのステークホルダーとつながろうとします。だからこそ、メディアによるリリース掲載数が重要な指標となるのです。

広告やプロモーションとの違い

よくPRを広告やプロモーションと混同しているケースが見られますが、まったくの別物であることを理解しましょう。

PRではステークホルダーとつながる手法の1つとして、メディア掲載を目指します。主なターゲットがメディアとなるため、どれだけメディアが掲載したくなるようなコンテンツを発信できるかが重要になります。発信内容に客観性が求められる場合も多いです。

一方、広告やプロモーションの対象者は消費者で、BtoB企業の場合は調達契約の意思決定者または意思決定に影響を及ぼす人となります。

ブランディングとの違い

PRとブランディングは、目的が違います。

PRの目的は、ステークホルダーとの理想的な関係構築です。ブランディングの目的は、ブランド価値向上による長期的な売上の獲得になります。

PRは、企業が事業活動を長く安定して続けるための社会的な環境の整備に力点をおいているといえます。したがって、メディアに発信するリリースでは、自社商材の紹介記事に留まらず、メディアが注目しやすい社会的価値のあるものを発信していく傾向があります。  

調査PRとは

いかにリリース掲載数を増やす努力をしたとしても、発信するコンテンツの中身が充実していなければ意味がありません。メディアリストの充実やメディア関係者との関係構築、リリース文言等の調整といった努力に意味がないわけではありませんが、これらは「コンテンツ内容の充実」があってこそ報われるものです。発信方法が良くても、発信内容にメディアが関心を示されなければ効果は限定されてしまうでしょう。

内容が充実したコンテンツには共通点があります。それは「信頼性」「説得力」「共感」「トレンドやモーメントとの適合」を備えていることです。調査PRを取り入れれば、これらの要素を的確に捉えて、メディアにとって有意義なコンテンツを発信できる可能性があります。

調査PRの定義

調査PRとは、自社商材に関連する調査を企業自らが行い、その調査結果を起点にPRする手法です。自社が属する業界のトレンドや社会課題に合わせて調査・発信方法を設計することで効果が増大します。

また、調査結果にもとづいてメディアが今まで知らなかった気付きや発見を得られるコンテンツを用意できれば、飛躍的な効果を得られるかもしれません。よりメディアの関心を引くためには、時宜を捉えた発信が効果的であり、それを「モーメント」を捉えると言います。優れた調査PRでは、より効果的にモーメントを捉えます。モーメントについては、のちほど調査PRの事例紹介とともに詳しく紹介します。

調査PRのメリット

調査PRのメリットとして、共感を生み出せる点が挙げられます。リリース内容は、ファクト(事実)=調査結果にもとづいているため、読者として受け入れやすく、行動にもつながりやすいという特徴があります。

たとえば、自社サービスの対象がBtoB企業の経理部といったようにピンポイントなケースがあったとします。調査PRで、「経理部の担当者を対象とした調査結果」をもとにしたストーリー設計をすることで、「他社の経理部も同じような課題を抱えているんだ(共感)。であれば、他社よりも早く改善できる方法を導入して、いち早く業務改善をしよう(行動)。」と、背中を押すコンテンツが作れます。

調査PRの成功例

調査PRのポイントである「信頼性」「説得力」「共感」「トレンドやモーメントとの適合」を網羅した結果、大きな反響を呼んだ事例を紹介します。

Sansan「紙トラブル番付」 

出典:Sansan株式会社 公式HP(https://jp.corp-sansan.com/news/2022/1201.html

 

業務のDX化を支援するSansan社は、1,000人のビジネスパーソンを対象にしたアンケートを行い、紙媒体の書類手続きによるトラブル事例を調査しました。

調査結果を「紙トラブル番付」として、独特な方法でランキングを発表し、さらに年末には「Sansan DX祈願祭」を自ら開催し、翌年の紙トラブルの解消を祈願するイベントを行いました。「紙トラブル番付」の発表方法も独特で、たとえば、横綱は「契約書迷子(目的の契約書がみつからない)」、大関は「名刺大捜索(貰った名刺を整理できておらず探しまわる)」といったものでした。

企画の独自性だけでなく、トレンドとモーメントを押さえている事例です。トレンドを押さえるために、DX化の推進が活発になった2022年に発信しています。さらにモーメントを押さえるために、「Sansan DX祈願祭」を年末に開催し、メディアの注目を集めることに成功しています。

 

[参考]

紙トラブル番付 リリース(https://jp.corp-sansan.com/news/2022/1201.html

Sansan DX祈願祭特設ページ(https://jp.corp-sansan.com/dx-kigan2022/

キュービック「デジタル履歴書作成ツール」

出典:PR TIME(株式会社キュービック:2023年5月1日)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000012817.html

 

デジタルメディア事業を展開するキュービック社は、履歴書作成ツールの公開と合わせて調査PRを行い、大幅な利用者獲得に成功しました。採用担当者300人を対象に、履歴書に関するアンケート調査を行い、その結果をプレスリリースに活用しています。

「志望動機は意外なほど見られていない」「写真はスーツ姿でなくても構わない」などの結果がテレビやニュースメディアに大きく取り上げられました。プレスリリースのPV数は通常の2倍以上になり、利用者も増えたそうです。一方で、「膨大な数の履歴書を見なければならない大企業の担当者ほど、履歴書はデータで欲しい」といった結果を得たことで、履歴書作成ツールの優位性や正当性を説得力のある形で証明しました。

2023年にツールをリリースし、コロナ明けで採用活動が活発化しているトレンドに合わせました。また、プレスリリースは5月に実施し、来年度の採用活動に向けて準備を始める人事部のモーメントに合わせました。

 

[参考]

採用担当者300人に聞いた!約7割が『履歴書で本当に必要なのは「基本情報」「職歴」の2つ』と回答!記載項目を必要最低限にしたシンプルな履歴書作成機能をミライトーチがリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000012817.html

まとめ

PR戦略のなかで、プレスリリースは大きな効果が見込める手法です。多くの共感を集め信頼できる良質なコンテンツを発信すれば、メディアでの掲載だけでなく、そこからさらなるSNSによる拡散などが期待できます。そうした転載・引用されるコンテンツを発信し続けることで、情報が資産としてストックされていくのですPR担当者の重要な成果指標であるメディア掲載数を増やすためには、メディアにとって良質であり、かつ自社サービスの必要性を訴えられるコンテンツである必要があります。自社のPR戦略をより効果的なものにするために、調査PRの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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https://neo-m.jp/solution/pr/