オウンドメディアを新たに構築するにあたって、懸念材料になりやすいのが「費用」です。具体的にどのような費用がかかり、相場はどのくらいなのか、気になっていた方も多いのではないでしょうか。
今回は、オウンドメディアの構築にかかる主な費用の種類と、それぞれの料金相場についてわかりやすく解説します。オウンドメディアの立ち上げから運用までにかかる費用総額もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
オウンドメディアと一口に言っても、構築したいメディアの方向性や打ち出すメッセージは各社さまざまです。そこで、最初期の段階ではオウンドメディアの「企画・戦略設計」を行う必要があります。企画・戦略設計とは具体的に何をするのか、事業者に委託した場合の費用の目安とともに見ていきましょう。
企画とは、端的に言うと「どのようなオウンドメディアを構築するのか」を決めることです。さらに、立案した企画にもとづいて、オウンドメディアをどのように成長させていくかを考えるのが戦略設計と捉えてください。
企画・戦略設計は、オウンドメディア施策の成否を左右する重要なプロセスといえます。したがって、オウンドメディアの構築や運用の経験がない事業者様であれば、この段階からプロに依頼するのが得策です。
企画・戦略設計にかかる費用はそれぞれ5〜15万円程度、両方を委託する場合は10〜30万円程度が相場と考えてよいでしょう。費用に幅があるのは、構築したいオウンドメディアの複雑さやデザインに求めるオリジナリティによって費用が異なるからです。
シンプルな構成のオウンドメディアをCMSで構築する場合は比較的費用を抑えられる一方、サイトの階層構造が複雑でページ数も多いサイトになると費用が上がっていきます。また、オリジナルデザインにしたいなどの要望が加わると、さらに費用が高くなりがちです。
企画にもとづいてオウンドメディアを形にしていくプロセスについて解説します。デザイン・コーディングとは何をするのか、費用はどの程度かかるのかを押さえておきましょう。
デザイン・コーディングとは、ヒアリングした要望を元にオウンドメディアのトップページやコンテンツページ、問い合わせフォームなどを形にしていくプロセスを指します。
CMSを使用する場合には、あらかじめ用意されているテーマ(テンプレート)を使用するケースも少なくありません。CMSを使用することが前提のプランでは、前述の「企画・戦略設計」と「デザイン・コーディング」をあわせて「初期費用」などと表記されている場合もあります。
デザイン・コーディングにかかる費用の相場は50〜300万円とかなりの幅があります。企画・戦略設計と同様、CMSを使用してオウンドメディアを構築すれば費用を抑えられる一方で、オリジナルデザインのサイトや大規模なオウンドメディアでは費用が高くなりやすいからです。
将来的にオウンドメディアのデザインをリニューアルするとなると多くの工数と費用が必要になるため、納得できるデザインになるよう慎重に判断することが大切です。
デザイン・コーディングによって構築するのが「外箱」だとすれば、コンテンツは箱の「中身」に相当します。コンテンツ制作とは具体的に何をするのか、制作費用の目安とあわせて見ていきましょう。
コンテンツ制作とは、オウンドメディアに掲載する記事や動画、ホワイトペーパーなどを制作することを指します。オウンドメディアの立ち上げ後、運用フェーズにおいてコストの大部分を占めるのがコンテンツ制作と捉えてください。
自社でコンテンツを内製するのであれば、必要なコストは主に人件費となります。一方で、継続的かつ安定的にコンテンツ制作を続けるには膨大なリソースが必要になることから、外部委託することも念頭に置いて予算計画を立てておく必要があるでしょう。
コンテンツ制作にかかる費用の目安は5〜50万円程度です。制作するコンテンツにもよって費用は大きく異なります。
たとえば、一般的な記事作成であれば5〜10万円、取材や撮影込みで記事作成を委託する場合は10〜15万円、動画コンテンツであれば15〜50万円が一般的な相場です。月あたりの制作依頼件数や継続的に発注するかどうかによっても価格が変動する場合があるので、複数の事業者から見積もりをとっておくことをおすすめします。
Webサイトを維持するための費用も必要です。見落としがちな費用ですが、オウンドメディア運営を継続する限り発生し続けることになる費用のため、必ず押さえておく必要があります。
サイト維持費とは、主にサーバー代やドメイン代のことです。また、CMSのアップデート代行やメール・電話などによる問い合わせ対応などもサービス内容に含まれる場合もあります。
制作会社によっては、企画・ディレクションやデザイン・コーディングとサイト維持を合算して月々の基本料金として設定しているケースも見られます。見積もりをとった際にサイト維持費に関する項目が見当たらなかった場合には、どの項目に含まれているのか確認しておくとよいでしょう。
サイト維持費は、サーバー代が月額1万5000円〜5万円程度、ドメイン代が年額数百円〜10万円程度が相場です。レンタルサーバーの中には格安のプランを提供しているものもありますが、表示速度やバックアップ対応、トラブル発生時のサポート体制なども考慮して、費用対効果を慎重に判断する必要があります。
また、ドメイン代は取得するドメインの需要によって大きく変動します。日本法人を表す「co.jp」といったドメインや、日本のWebサイトであることを示す「.jp」といったドメインは取得・更新費用が高くなりがちです。めずらしいドメインの中には格安で取得可能なものもありますが、長期的に見ると急に値上がりする可能性も否定できないことから、「.com」や「.net」といった比較的よくあるドメインを選ぶほうが得策です。
オウンドメディアは中長期にわたって運用を続け、時間をかけてSEO効果を高めていくことが求められる施策です。したがって、分析・改善にかかるコストも予算計画に盛り込んでおく必要があるでしょう。分析・改善で実施する内容と、費用の相場について解説します。
分析・改善とは、検索順位やPV・CVといったSEO対策の効果を測定し、随時改善を図っていくことを指します。オウンドメディアは構築してコンテンツを投入しさえすればすぐに成果がもたらされるものではなく、効果測定と分析・改善を繰り返しながら成果を出していく必要のある施策です。データを元に改善が必要なポイントを判断する必要があることから、SEO会社やマーケティング会社に委託するのが現実的でしょう。
分析・改善にかかる費用の目安は、月額10〜30万円程度です。価格設定は事業者によって異なるため、契約時には評価レポートやSEOレポートを定期的に提示してもらえるか、改善提案をどの程度の頻度で実施する予定であるかをよく確認しておく必要があります。分析・改善を外部委託先に丸投げするのではなく、社内でもオウンドメディア担当者を配置し、委託先の事業者と連携しながら改善の方向性を模索していくことが大切です。
オウンドメディア構築・運営にかかる費用をまとめると、費用の目安は次のようになります。
もちろんすべての工程を外部委託する必要はなく、内製できる部分は社内で進めることも可能です。しかし、本格的にオウンドメディアを構築・運用するとなれば、構築〜初期運用までの期間におおよそ100万円はかかると考えておくほうがよいでしょう。今回紹介した費用の項目と相場を、オウンドメディアの予算計画策定にぜひ役立ててください。