インサイドセールスを導入する方法として、社内にインサイドセールス部門を設置する以外に、インサイドセールス代行会社へ委託するという選択肢があります。一方で、委託先のインサイドセールス会社はどこでもよいわけではなく、依頼先を選ぶ際の注意点を把握しておくことが大切です。
今回は、インサイドセールス代行会社に依頼する際の注意点や委託方法のパターン例、インサイドセールスを外注するメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。インサイドセールス代行会社おすすめ10選とともに見ていきましょう。
インサイドセールスは代行会社への委託によって外注化が可能です。ただし、委託先はどこでもよいというわけではありません。インサイドセールス代行会社に依頼する際、注意しておくべきポイントを押さえましょう。
インサイドセールス代行会社は、事業者によって得意分野や専門領域が異なります。支援内容が自社の課題や状況にマッチしているか確認しておくことが大切です。
たとえば、BtoB/BtoCや業界、商材のタイプ、営業プロセスなど、支援内容が自社の営業スタイルに合っているかどうかは重要なポイントといえます。実績が豊富な代行会社であっても、自社の課題や状況と大きく食い違っていれば十分な効果は望めません。裏を返すと、インサイドセールス代行会社に依頼するにあたって、自社の状況を整理した上で現状の課題を明確にしておく必要があります。
インサイドセールス代行会社の料金体系には、大きく分けて「固定報酬型」と「成果報酬型」の2種類があります。固定報酬型は成果によらず一定額の報酬を支払うタイプのため、限られた予算内で依頼したい場合や、インサイドセールス業務を幅広く総合的に委託したい場合におすすめです。
一方、成果報酬型は商談設定数や受注件数などの成果に応じて報酬が変動します。特定のプロセスに絞って委託したい場合や、短期集中で委託したい場合は成果報酬型がおすすめです。このように、インサイドセールスを外注する目的や期間、予算感に応じて報酬体系を選ぶ必要があります。
自社の営業スタイルや企画営業やコンサルティング営業の場合、インサイドセールスを外注化せず社内で組織化するのが得策です。インサイドセールスを外部へ委託するデメリットの一つとして、ノウハウが社内に蓄積されにくくなる点が挙げられます。代行会社から定期的に提示されるレポートなどで状況を確認できるものの、実務上のノウハウを蓄積するには社内で対応するのがベストであることに変わりはありません。
企画営業やコンサルティング営業に関しては、ノウハウや商品開発の精度に営業部門からのフィードバックが大きな影響を与えます。インサイドセールスからフィールドセールスまで、一気通貫で対応可能な社内体制を整えるべきでしょう。
インサイドセールスの特徴と役割・効果を整理して押さえよう
インサイドセールス代行会社に委託する方法として、大きく分けて3つのパターンが挙げられます。自社に適した委託のパターンを見極めておきましょう。
一つめのパターンは、見込み顧客の創出に特化して外注する方法です。一般的には、見込み顧客のフェーズに合わせて下記のように分業します。
上記のうち「2」のフェーズを代行会社へ委託するイメージです。分業化が前提となるため、委託前に現状の営業プロセスを整理しておく必要があるでしょう。営業プロセスが属人化している傾向が見られるようなら、インサイドセールスの外注化を機に仕組み化を推進するのも一つの考え方です。
リード獲得から成約まで、営業プロセス全般を一括して外注するパターンです。必然的に非対面での営業活動に徹することになるため、対面営業が必須ではないWeb関連の事業などに適しています。
自社で営業に特化した部門をもたない企業の場合、リード獲得や商談に必要なノウハウをこれから構築していくのは容易ではないこともあるでしょう。インサイドセールス代行会社に委託することによって、委託先の事業者がもつノウハウや知見を活用できる点が大きなメリットです。一方で、社内にノウハウや知見が蓄積しにくい面があることから、将来的に自社で営業活動を担えるようにしたいのであれば、外部委託と並行して社内での人材育成を推進していく必要があります。
営業プロセスのうち一部の業務を切り出し、外部の事業者へ委託するパターンです。たとえばテレアポのみ外注したり、メールDMの配信のみ委託したりするケースが該当します。委託すべき業務範囲がわかりやすい反面、インサイドセールスの仕組みの構築は社内で進めなければなりません。
こうした外注の方法を選択するには、インサイドセールスに関する知見を備えた人材が自社に在籍していることが条件となるでしょう。「単にテレアポを外注しただけの結果になってしまった」といった事態に陥らないよう、自社におけるインサイドセールスの全体像を明確にしておく必要があります。
インサイドセールス代行会社に委託するメリット・デメリットはどのような点にあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
インサイドセールスに関する知見やノウハウを備えた人材を外部で確保できるため、インサイドセールス専任の担当者を社内で多数確保する必要がなくなります。自社のリソースを節約しつつ、見込み顧客の育成や商談設定を進められることは大きなメリットの一つです。専任担当者を育成するための時間や労力も加味すると、中長期的なリソース不足の解消につながります。
インサイドセールス代行会社が蓄積してきたノウハウを活用できることもメリットの一つといえます。自社にはインサイドセールスに関するノウハウがない場合にも、専門的な知見を即座に実務へと反映させられるからです。
代行会社から定期的に活動状況を報告してもらうことにより、見込み顧客の育成や商談設定に至るまでのプロセスを共有できるというメリットもあります。外部のノウハウを吸収することは、自社の営業スキル向上にもつながるでしょう。
見込み顧客の購買意欲を高め、商談を設定するまでのプロセスを代行会社に委託することにより、自社の営業担当者は受注活動に専念しやすくなります。商談化するまでのプロセスを省略できることに加え、成約確度の高い見込み顧客に絞って受注活動を進められるからです。
結果として商談の成約率が向上すれば、営業担当者のモチベーションアップにもつながるでしょう。日々の営業活動の手応えを実感することで、より前向きに商談へと臨みやすくなる効果が期待できます。
インサイドセールスの導入で業績アップ!7つの驚くべきメリット
https://kachisuji.neo-m.jp/insidesales/04
インサイドセールス代行会社の活用メリットを引き出すには、情報共有の仕組み作りが欠かせません。代行会社が見込み顧客とのコミュニケーション履歴を共有していても、共有された情報の重要性を営業担当者が理解していなければ有効活用できないからです。
典型的な失敗例として、すでに代行会社がヒアリングした情報を営業担当者が商談の場で再度質問してしまうパターンが挙げられます。見込み顧客にとっては同じ質問を何度もされていることになるため、不信感につながりかねません。こうした事態を回避するためにも、代行会社との間での情報共有に加え、社内での情報共有の仕組みを確立しておく必要があります。
インサイドセールス代行会社に委託することによって、社内にノウハウが蓄積されにくくなるというデメリットもあります。当面は代行会社を活用する場合にも、インサイドセールス担当者を社内に配置してノウハウを吸収していくことが大切です。
たとえば、購買意欲を高めるために代行会社がどのような方法でコミュニケーションを図っているのか、成約確度が高いと判断した根拠はどこにあるのか、といった点を常に意識するとともに、必要に応じて代行会社に報告を求めるとよいでしょう。
インサイドセールスを委託できるおすすめの代行会社10選を紹介します。各社の特徴や支援内容をまとめていますので、代行会社を選ぶ際にぜひ役立ててください。
サービス名 | Sakura outsourcing |
特徴 | アポイント獲得からマーケティングオートメーションまで、状況や要望に合わせた支援を提供 |
支援内容 |
・リード獲得 ・資料送付 ・リードナーチャリング(見込み顧客育成) ・MA連携 ・アンケートによるヒアリングと集計 ・内製化に向けたデータ蓄積 |
おすすめの企業 |
・自社に必要な支援内容や業務領域が明確になっている企業 ・将来的にインサイドセールスを内製化したい企業 |
公式サイト |
1,500社以上で導入実績のあるインサイドセールス代行会社です。活動状況を集計レポートにまとめ、定例ミーティングにて共有する仕組みを提供しているため、インサイドセールスのノウハウを吸収したい事業者様に適しています。また、インサイドセールスのプロセスで収集した顧客情報やヒアリング内容などを集計・分析した上で、内製時にスムーズに引き継げるようまとめてもらえる点も大きなメリットです。
サービス名 | セイヤク |
特徴 | 各社の営業課題に合わせて専門チームを構築し、柔軟な対応が可能 |
支援内容 |
・営業リスト作成 ・顧客育成 ・インバウンド対応 ・アウトバウンド対応 |
おすすめの企業 |
・自社に固有の課題を解決したい企業 ・インサイドセールスの専門的な知見を求めている企業 |
公式サイト |
全国エリアに対応しており、正社員による安定した人材・ノウハウの提供を実現している代行会社です。東証プライム市場上場企業であるウィルグループのグループ会社であり、人材業界大手ならではの人材活用メソッドを豊富に備えています。自社の課題解決に向けて、専門チームの知見を活用したい企業におすすめです。
サービス名 | soraプロジェクト |
特徴 | 売上アップにこだわるインサイドセールス代行サービスを提供 |
支援内容 |
・法人リスト作成 ・アポイント獲得 ・見込み顧客育成 |
おすすめの企業 |
・中長期的にインサイドセールスを外部委託したい企業 ・時期や季節によって需給バランスが変動しやすい企業 |
公式サイト |
16年以上にわたり法人向け営業代行サービスを提供し続けている代行会社です。130万コール以上を経て収集した800万社の法人データベースから、有望なリストを作成できます。アポイント獲得だけでなく、中長期的な顧客との関係構築を重視している点が特徴です。無駄を極力排除したコール体制を構築しているため、時期や季節によって需給バランスが変動しやすい企業にも適しています。
サービス名 | リーグル |
特徴 | ターゲティングから顧客接点構築、顧客育成まで支援が可能 |
支援内容 |
・ターゲティング&コール ・アポイント獲得 ・オポチュニティ獲得 |
おすすめの企業 |
・接点がないもののアプローチしたい見込み顧客がいる企業 ・中長期的に顧客育成を継続していきたい企業 |
公式サイト |
700社以上のBtoBセールス、マーケティング支援実績のあるインサイドセールス代行会社です。安定的に新規案件を増やすための「コールドコールマン」「スゴイリスト」「スゴイアポ」など、独自のノウハウにもとづいて見込み顧客へのアプローチを図っています。仮説にもとづいた論理的なスクリプト作成とPDCAにより、着実に成果を挙げている点が同社の強みです。新規営業分野に特化しているため、事業拡張を実現したい企業に適しています。
サービス名 | コンフィデンス |
特徴 | 固い商談設定とマーケティングを実現する課題解決型営業 |
支援内容 |
・テレアポ代行 ・ナーチャリング代行 ・MA導入コンサルティング |
おすすめの企業 |
・自社の事業課題が明確になっている企業 ・高額商材や無形商材を扱っている企業 |
公式サイト |
プロジェクト専任制を採用することにより、質の高いインサイドセールス代行を実現している企業です。顧客の課題を深掘りし、解決策を提示するアプローチにより、確度の高い商談設定とマーケティング施策を可能にしています。課題のタイプに応じてテレアポ代行、ナーチャリング代行、MA導入コンサルティングを使い分けられるので、自社に合ったアプローチを実現可能です。セールスプロセスが複雑な商材や高額商材、無形商材を扱っている企業などに適しています。
サービス名 | BALES |
特徴 | 中小規模から大企業までインサイドセールスを総合的に支援 |
支援内容 |
・トークスクリプト作成 ・運用マニュアル作成 ・業界別・企業規模別のアプローチデータの提示 ・通電しやすい時間帯・役職調査 ・商談獲得 ・ナーチャリング ・オンラインセールス など |
おすすめの企業 |
・インサイドセールスのノウハウが社内にない企業 ・SaaSが主力事業の企業 |
公式サイト |
自社開発によるインサイドセールスに特化したクラウドシステムを提供している代行会社です。体制構築から実務支援サポートまで対応できるため、インサイドセールスを実現するための仕組みを1から構築できます。見込み顧客のスコアリング設計や顧客育成のプロセス構築にも対応しているため、誰もが成果を出せる組織構築が可能です。インサイドセールスに関するノウハウを当面保有していない企業や、SaaSが主力事業の企業に適しています。
サービス名 | セレブリックス |
特徴 | 営業コンサルの豊富な実績に根差した支援体制の構築 |
支援内容 |
・3C分析(市場調査・競合調査など) ・セールスコンテンツの作成 ・リスト精査 ・セールス手法の確立 ・支援活動 |
おすすめの企業 |
・インサイドセールスを一括して外部委託したい企業 ・営業支援も含めて依頼したい企業 |
公式サイト |
インサイドセールス専任担当者が常駐し、見込み顧客の発掘から商談設定、商談への同行までトータルな支援を提供している代行会社です。一次商談まで・受注獲得まで・カスタマーサクセスまでなど、求める支援の範囲に合わせて営業支援を依頼できます。商談への同行にも対応しているため、見込み顧客の発掘から提案・成約までトータルな支援が可能です。インサイドセールスを一括して委託したい企業はもちろんのこと、フィールドセールス支援も含めて依頼したい企業にも適しています。
サービス名 | B Trade Partners |
特徴 | 徹底した商材理解により、質の高いインサイドセールスを実現 |
支援内容 |
・リード獲得サービス ・テレマーケティング ・リードデータ整理・管理 ・インサイドセールス研修 |
おすすめの企業 |
・見込み顧客の情報が未整理の企業 ・できるだけ現状の仕組みを活用したい企業 |
公式サイト |
クライアント企業の製品・サービスを徹底理解することにより、質の高いインサイドセールス代行を実現している企業です。これまでに収集した名刺など、見込み顧客の情報が整理されていない状態でも問題なく対応してもらえます。必要に応じて新たなツールの導入を提案するケースもあるものの、基本的には現状のツールやシステムを活用する方向で提案してもらえる点も特徴の一つです。見込み顧客の情報が未整理の企業や、できるだけ現状の仕組みを有効活用したい企業におすすめします。
サービス名 | SALES ROBOTICS |
特徴 | 豊富な実績に裏打ちされた戦略策定と実行スピード |
支援内容 |
・インサイドセールス立ち上げ構築支援 ・インサイドセールス運用支援 ・コールセンターBPO ・セールスチャットBPO |
おすすめの企業 |
・インサイドセールスの立ち上げ支援を求めている企業 ・インサイドセールスの運用を含めて支援してほしい企業 |
公式サイト | https://salesrobotics.co.jp |
1,000社以上のインサイドセールス支援を通じて得た知識と経験をデータ化し、ノウハウとして蓄積してきた代行会社です。成功事例から導き出した戦略を素早く実行へと移せる強みを活かし、最短距離で成果を挙げることを目指しています。インサイドセールスの立ち上げ支援や運用支援をはじめ、コールセンターやセールスチャットのBPO(業務委託)サービスにも対応可能です。インサイドセールスの立ち上げを支援してほしい企業や、運用も含めて依頼したい企業に適しています。
サービス名 | DORIRU |
特徴 | プッシュ型のインサイドセールスに特化した支援を提供 |
支援内容 |
・戦略設計 ・ABM戦略 ・リスト抽出 ・商談創出 |
おすすめの企業 |
・BDR(新規開拓型)の営業がメインの企業 ・ターゲット顧客が中堅〜大手の企業 |
公式サイト | https://doriru.co.jp/doriru/ |
中堅から大手の顧客獲得に特化し、プッシュ型のインサイドセールス支援を行っている代行会社です。具体的なターゲットに合わせて、アプローチ方法やマーケティング施策を構築するABM(Account Based Marketing)にもとづき、より相性のいい対象企業のターゲティングを可能にしています。新規開拓型の営業がメインの企業や、ターゲット顧客が中堅〜大手の企業に集中している企業におすすめです。
インサイドセールス完全ガイド ~基礎知識から実践的な導入ステップまで~
インサイドセールス代行会社に委託することで多くのメリットを得られる反面、情報共有の仕組み作りやノウハウの蓄積など、外部委託に特有のデメリットもあるのが実情です。インサイドセールス代行会社を活用する際には、今回紹介した注意点を参考にあらかじめ対策を講じておく必要があるでしょう。インサイドセールスのメリット・デメリットの両面を踏まえて、効果的な導入を実現してください。