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ブランディングの事例21選と成功のポイントを戦略別に紹介

2024年01月24日

ブランディングの事例21選と成功のポイントを戦略別に紹介
目次

ブランディングとは、プロダクトやサービス、それらを提供する企業に対して統一されたイメージを浸透させ、企業価値の向上や競争優位性の確保を実現することをいいます。さまざまな種類のブランディングについて、成功事例と成功のポイントをまとめました。自社でのブランディング施策を検討する際にぜひ参考にしてください。

ブランディングの種類

ブランディングの種類

ブランディングにはターゲットや目的によってさまざまな種類があります。主なブランディングの種類は次のとおりです。

 

・商品ブランディング

・サービスブランディング

・インナーブランディング

・企業ブランディング

・リブランディング

BtoBブランディング

・採用ブランディング

 

はじめに、それぞれの概要と目的を押さえておきましょう。

商品ブランディング

特定の商品に照準を合わせたブランディングです。商品がもつイメージやその特性、内包する価値、醸し出される世界観などを認知してもらい、広く浸透させていくことを指します。特定の商品名を生活者が「知っている」だけにとどまらず、「洗練されている」「親しみやすい」といった統一されたイメージを抱いている状態が、商品ブランディングの理想形といえるでしょう。

サービスブランディング

無形商材や経験財に照準を合わせたブランディングです。サービスの価値を知ってもらい、魅力を伝え、イメージを浸透させることを指します。主に有形商材を対象とした商品ブランディングとは異なり、生活者が実際に体験するまでその価値や魅力が伝わりにくい点が大きな特徴です。

インナーブランディング

従業員をはじめとする内部関係者を対象としたブランディングです。内部関係者に自社の価値や世界観を浸透させ、理解を促し、共感してもらうことを目指します。組織外に向けたブランディングの前段階における必要な施策として位置づけられるケースもあります。

企業ブランディング

企業全体に照準を合わせたブランディングです。コーポレートブランディングとも呼ばれます。特定のプロダクトやサービスではなく、企業そのものに対して感じる価値や魅力を醸成し、イメージとして浸透させ、社内外で企業に対する信頼性を高めることが企業ブランディングの主要な目的です。

リブランディング

既存のブランドを時代の変化や顧客ニーズに応じて再構築し、認知度や信頼感の向上を図るブランディングです。新鮮さを失ってしまったブランドイメージの立て直しや、訴求方法の見直しを検討する際にリブランディングが検討されるケースが多く見られます。

BtoBブランディング

企業間取引において長期的な信頼関係を醸成するとともに、自社の安定性や信頼性を認知してもらい、印象づけるブランディングです。前述の企業ブランディングも、BtoBブランディングの一手法として用いられることがあります。この他、顧客の課題解決を価値として打ち出すソリューションブランディングや、高い技術力に裏打ちされた技術ブランディングなどもBtoBブランディングの一種です。

採用ブランディング

求職者とその周囲の人々が感じる自社の価値や、自社で働くイメージの向上を図るブランディングです。端的に言うと「この会社で働きたい」「あの会社で働けるのがうらやましい」と思ってもらえるよう、戦略的に情報発信をしていくことを指します。採用活動の強化や採用コストの抑制につながることが、採用ブランディングを推進する主なメリットです。

商品ブランディングの成功事例

商品ブランディングの成功事例

ここからは、ブランディングの成功事例を戦略別に紹介していきます。はじめに紹介するのは、商品ブランディングで成功を収めた事例です。

ベーシックな服としての地位を確立

ファストファッションブランドの代名詞とも称されるA社は、シンプルで機能的・価格が手頃というコンセプトに一貫してこだわり抜き、そのイメージを国内外に浸透させた事例として広く知られています。単に価格が安いというだけでなく、ベーシックな服としての地位を確立したことにより、年齢や性別を問わず広く親しまれるブランドへと成長を遂げたのです。コンセプトを貫いたことが功を奏した商品ブランディングの事例といえるでしょう。

顧客ニーズの本質を深掘り

調理器具の製造・販売を手がけるB社では、調理器具そのものの販売ではなく料理を楽しんでもらうことをブランドの最終ゴールに設定しています。質の高い調理器具を買い求める顧客の多くは、料理を楽しみたいからこそ調理器具にこだわっているというニーズの本質を捉えたのです。表層的な購買行動に注目するのではなく、その背景にある顧客の心理や本質的なニーズを深掘りすることの重要性を示唆した事例といえます。

徹底した品質へのこだわり

果物店を営むC社では、仕入れ時の徹底した目利きと品質管理により、「行列ができる果物店」という独自のポジションを貫いています。大量仕入れ・大量販売をあえて避け、品質にこだわり続ける姿勢は多くの顧客から熱烈に支持されており、「C社で買ったフルーツなら間違いない」「(他店より価格が高くても)C社で買いたい」といった定評を得ているのです。大規模なスーパーマーケットなどには真似のできない、自社の強みを打ち出した商品ブランディングの好例といえるでしょう。

サービスブランディングの成功事例

次に、無形商材・経験財を対象としたサービスブランディングの成功事例を紹介します。形のないサービスをどのようにブランド化し、広く浸透させていったのでしょうか。

空間やコミュニティへのこだわり

カフェチェーン店をグローバルに展開するD社では、コーヒーだけでなく店内で過ごす「時間」や「空間」を付加価値として重視しています。喫茶店の多くは提供するコーヒーの味やコーヒー豆へのこだわりなどで勝負していた中で、都会的でスタイリッシュなイメージを前面に打ち出したD社のブランディングは、当時としては他に類を見ない戦略でした。カフェはもちろんのこと、飲食店全般において参考にしたい成功事例といえるでしょう。

クレドを軸とした「感動体験」の創出

世界的にホテルを展開するE社では、自社のサービスコンセプトの核心を「クレド」に集約し、あえて詳細なマニュアルを設けないことで従業員一人ひとりに主体的なサービス提供を促しています。顧客の要望を先読みし、期待を上回るサービスを提供することで「感動体験」を生み出しているのです。顧客の期待に応えることを目指すのではなく、「期待を超える」ことを目指している点が、他社にはない独自のブランド価値を創出した事例といえます。

ユーザーに体験価値を約束

フリマアプリを提供するF社では、思想的リニューアル・機能的リニューアルおよびブランドロゴの検証を、より暮らしに密着した「当たり前に存在するサービス」を目指す第一歩と位置づけました。「わくわく感」「公平さ」「なめらかな」といったキーワードを軸に、ユーザーの体験価値を約束するためのサービスブランディングを徹底したのです。顧客に「どう映るか」を考え抜き、サービスブランディングの確立に成功した事例といえるでしょう。

インナーブランディングの成功事例

インナーブランディングは、対外的なブランディング戦略を講じるための下地づくりとして重要な役割を果たしています。具体的な成功事例を見ていきましょう。

自社の提供する価値を従業員が体験

テーマパークを運営するG社では、閉園後のパークを従業員に開放し、自社が提供する価値を従業員に体験してもらう試みを続けています。自社施設の楽しさやわくわく感を顧客の視点で体験することにより、自社が提供しているサービスの意義や価値を再認識してもらうことが狙いです。自社のサービスに自信があるからこそ可能なインナーブランディングの施策といえるでしょう。

動画配信による企業理念の浸透

航空会社のH社では、経営層が企業理念や経営計画を語る動画を制作し、社内に配信しています。画像やテキストではなく動画で配信することにより、口調や表情といった経営層の「熱量」も含めて伝えられるからです。企業理念の浸透はインナーブランディングにおいて重要な位置を占めています。企業理念をあらためて伝える工夫として、多くの企業で取り入れられる工夫といえるのではないでしょうか。

自社のバリューと約束をまとめた冊子を製作

ITベンチャー企業のI社では、自社のバリューと約束をまとめた冊子を作成し、従業員に配布しています。Web媒体で制作することも技術的には十分可能でしたが、あえて紙媒体にすることで従業員が常にもち歩けるようにしたのです。この冊子は実務での振り返りから採用面接まで広く活用されており、同社のインナーブランディング形成に寄与しています。自社のバリューを明確な形でまとめておく手法は、どの企業でも応用しやすいインナーブランディングの施策といえるでしょう。

企業ブランディングの成功事例

次に、企業全体のブランディングの成功事例を見ていきましょう。企業全体の価値を打ち出し、浸透させるためにどのような施策を講じたのでしょうか。

複数の企業が合併してできた新たな会社のブランディング

キッチンや浴室の設備を製造・販売するJ社は、5社の統合を経て設立された企業です。その後もアメリカやドイツ、インドといった国々の企業を買収してきました。統合・買収後は各社のブランドが混在している状態でしたが、ブランドの統一を強行するのではなく、子会社のブランド力や認知度を活かした戦略を講じている点が大きな特徴です。複数の企業を擁するグループにおいて、参考になる企業ブランディングの事例といえるでしょう。

周年を機に新たなロゴを開発

コンビニチェーンを展開するK社では、創業50周年を機に新たなロゴを開発しました。長年にわたって浸透してきたブランドイメージを踏襲しつつ、循環型社会の実現や地域との共創といった現代的なテーマを加味しています。企業ブランディングは、企業としての歴史が長い場合も短い場合もなんらかのきっかけが欠かせないものです。周年を機に「周年ロゴ」を開発するアイデアは、他業種においても応用できるのではないでしょうか。

事業拡大に伴いロゴを整理

ITサービスを提供するL社では、事業拡大に伴い各サービスのロゴを整理しました。70以上のサービスを事業の規模や領域を元に分類し、サービスの特性ごとにカラーグループを体系化した他、すべてのサービスがL社のコーポレートブランドと結びつくようイメージの統一化を図ったのです。個々のサービスをブランド化するのではなく、1つのマスターブランドに集約したことが、結果としてブランディングの成功につながった事例といえるでしょう。

リブランディングの成功事例

リブランディングは既存ブランドのイメージ転換を図る必要があるため、他のブランディング施策とは異なる工夫や施策が求められます。具体的な成功事例を見ていきましょう。

ブランドステートメントを商品コンセプトに反映

農業機械の開発・販売を手がけるM社は、1世紀以上にわたる長い歴史のある企業です。近年は建設機械やマリンインダストリー、エネルギーといった分野へ事業の多角化を図ってきました。

 

企業の実態に即したイメージチェンジを図るべく、プロダクトデザインに第一線で活躍するデザイナーを迎え入れました。ブランドステートメントを商品コンセプトにも反映させる施策により、親しみやすい印象から先進的な企業へと着実にイメージ変革を遂げつつあります。

車ではなくカーライフに軸足を置いたコンセプト

自動車メーカーのN社は、世界シェア2%を堅持すべく他社メーカーには見られない独自のリブランディング施策を講じました。車そのものの性能やデザイン性、快適性などを打ち出すメーカーが多い中、生活社一人ひとりの生き方や価値観を中心に据えたメッセージを発信し続けたのです。

 

たとえば、テレビCMでは車を利用する生活シーンをドラマ仕立てで描き、子どもの成長や夫婦の歴史といったカーライフの一幕を印象的に演出しています。同CMは多数の広告関連の賞を受賞し、幅広い層から熱烈な支持を得ました。

ターゲティング・ポジショニングの変更

製薬会社のO社では、主に男性向けに販売していた二日酔い対策の医薬品の販売が低迷していました。そこで、同薬剤の主成分に肌の代謝を助ける効用もあることに注目し、女性を対象とした美肌対策の医薬品として大幅なイメージ転換を図ったのです。

 

販売網についても大手ドラッグストアチェーンでの販売に注力し、消費者が手軽に購入しやすい仕組みを整えました。商品のターゲティング・ポジショニングを大胆に変更したことにより、リブランディングを成功へと導いた好例といえるでしょう。

BtoBブランディングの成功事例

BtoBブランディングにおいては、企業に対する信頼性向上が鍵を握ります。具体的にどのような方法で信頼性を高めているのか、3社の成功事例を見ていきましょう。

ライセンス供与でイメージ向上に寄与

音響記録・再生技術の研究・開発を行うP社では、独自のノイズリダクション技術を活用したBtoBブランディングに成功しています。具体的には、ノイズリダクション技術のライセンスを他社に供与することにより、高音質にこだわっているイメージづくりをサポートしてきたのです。

 

同社のロゴマークは、高音質を保証する象徴として映画作品やゲームソフトをはじめ、さまざまなメーカーの製品に活用されています。Win-Winの関係を目指すスタンスを貫いたことが、結果としてBtoBブランディングの成功へとつながったのです。

社会貢献による信頼性の向上

SaaSを開発・提供するQ社では、就業時間・株式・製品を各1%社会へ還元するという独自の社会貢献を実施しています。たとえば、従業員は年間のうち7日間の就業日を社会貢献に充て、ボランティア活動などに従事できるのです。

 

この他、株式の1%を活用した教育・労働開発プログラムの支援活動や、製品の1%を活用した非営利団体への製品寄贈・割引といった活動により、社会貢献度の高い企業として認知されつつあります。社会貢献を企業活動の一環として実施することにより、信頼性の向上が実現した事例といえるでしょう。

強みとなる技術をわかりやすく定義

コンピューター関連事業を手がけるR社では、自社の技術をわかりやすく定義することでBtoBブランディングに成功しています。具体的には、システムが定型処理にとどまらず「解釈」「判断」も行うというコンセプトを大々的に打ち出したのです。

 

同社のコンセプトは技術者だけでなく、一般のビジネスパーソンにも広く知られるようになりました。強みとなる技術を一般の方々にもわかるよう平易な言葉で定義することにより、同社に対する期待感・信頼感を高める効果を得られたのです。

採用ブランディングの成功事例

採用ブランディングと一口に言っても、その手法は多種多様です。求職者の認知を高め、イメージアップを図ることに成功した3つの事例を紹介します。

社員紹介を主体としたオウンドメディア運営

フリマアプリや金融サービスを提供するS社では、オウンドメディアにて自社で働く従業員に関する記事を創刊から1,000本以上公開しています。メディアの読者は同社の雰囲気やそこで働く方々の様子を知った上で、応募すべきかどうかを検討できるのです。

 

実際、応募者の多くは同メディアを閲覧して「ここで働きたい」と感じているケースが少なくありません。自社の認知を高めるだけでなく、入社後のミスマッチを回避するための施策としても功を奏しています。

徹底的に「人」を大切にするスタンス

菓子メーカーのT社では、徹底的に「人」を大切にするスタンスを貫くことで独自のブランドを確立しています。従業員は70歳まで雇用延長できることに加え、定年退職後の元従業員には独自の企業年金を支給するなど、徹底的に従業員を守る姿勢を大切にしてきました。

 

結果として、T社には地域の若者から応募が毎年のように殺到しており、人気の就職先となっています。採用ブランディングの根底には従業員満足度があり、従業員満足度を徹底して高めることが採用活動の成功へとつながることを証明した好例です。

理念共感型採用の実施

ウェディング事業やレストラン事業を手がけるU社では、自社の理念や価値観に共感してくれる人のみ採用するという方針を徹底しています。面接時には応募者の価値観を知るための質問を多数投げかけ、自社の価値観と一致している人だけを採用しているのです。

 

ブランディングにはさまざまな種類がありますが、いずれもブランドを創っていくのはそこで働く一人ひとりの従業員である点は共通しています。U社の理念共感型採用は、採用ブランディングから企業・サービスブランディングまでを一貫した施策として捉えている事例といえるでしょう。

まとめ

ブランディングを成功させるための施策に「正解」はなく、各社が知恵を絞って自社の強みや魅力を打ち出していることがおわかりいただけたのではないでしょうか。今回紹介した事例を参考に、自社が強化すべきブランディングの種類と講じるべき施策についてぜひ検討してください。さまざまな企業の成功事例に触れることが、新たなアイデアを生み出す重要なきっかけとなるかもしれません。

土田 琢磨
WRITER
土田 琢磨
コピーライターとしてキャリアをスタートし、国内広告会社にてクリエイティブ部門責任者・シニアクリエイティブディレクターを務めた。主に、広告クリエイティブのディレクション・コピーライティング・CMプランニングを担当。医薬品・新聞社・官公庁・教育・家電などのクライアントワークに携わる。
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