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ブランディングにおける「タグライン(ブランドメッセージ)」の重要性と効果

2024年04月24日

ブランディングにおける「タグライン(ブランドメッセージ)」の重要性と効果
目次

ブランディングについて調べていると、しばしば「タグライン」という言葉を見かけます。タグラインとは何を表しているのか、キャッチコピーとどう違うのか、疑問に感じていた方も多いのではないでしょうか。

 

今回は、タグラインの意味やキャッチコピーとの違い、タグラインがもたらす主な効果についてわかりやすく解説します。タグラインの具体的な事例とともに見ていきましょう。


タグラインとは

はじめに、タグラインとはどのようなものかを押さえておきましょう。タグラインがなぜブランディングにおいて重要視されるのか、タグラインと関わりの深い概念である「ステートメント」とあわせて理解しておくことが大切です。

企業・生活者・従業員の「合い言葉」

タグラインとは、企業や商品に込められた思いやビジョンを、身近な表現で端的に表現した「合い言葉」のことです。身近な言葉で表現されているため、企業・生活者・従業員に共通する合い言葉となり、長年にわたって親しまれていきます。

 

たとえば、企業が広告などのアウトプットを制作したり、商品・サービスのPRを行ったりする際にも、発信するメッセージの根幹にはタグラインが存在します。タグラインは「ブランドメッセージ」そのものと捉えて差し支えないでしょう。

タグラインはなぜブランディングにおいて重要なのか

タグラインがブランディングにおいて重要視されるのは、ブランドがもつ価値を短時間で伝える手段として適しているからです。通常、ブランドの価値を理解してもらうには相応の時間を要します。短く親しみやすい言葉で表現されたタグラインは、ブランドの価値をごく短時間のうちに理解してもらう上で有効な手段です。

 

ブランドイメージを多くの生活者に浸透させ、そのジャンルの商品群の中で第一想起されるブランドの1つとなるには、いかに印象に残すかが重要なポイントとなります。印象深く記憶に残りやすいタグラインを打ち出すことは、自社ブランドを生活者に第一想起させる上で重要な戦略といえるでしょう。

タグラインとステートメント

タグラインとともによく用いられる言葉として「ステートメント」が挙げられます。ステートメントとは、タグラインを補足するために添えられる文章のことです。タグラインが「合い言葉」だとすれば、ステートメントは生活者へと届ける「手紙」に相当します。

 

タグラインとステートメントは、広告・PR活動やブランディング、マーケティングといった一連の活動のベースとなります。ビジュアルイメージなどを構築していく際にも、根底にあるのはタグラインとステートメントです。このように、タグラインとステートメントはブランドの根幹に位置づけられる言葉といえます。

タグラインとキャッチコピーの違い

タグラインとキャッチコピーの違い

ブランドの価値を短い言葉で表現したものと聞くと「キャッチコピー」を思い浮かべる方も多いでしょう。タグラインとキャッチコピーは似て非なるもののため、きちんと区別しておく必要があります。

生活者の関心を集める言葉=キャッチコピー

キャッチコピーとは、生活者の関心を集めるために考案される言葉のことです。ターゲットを振り向かせ、購入してもらうことが主眼に置かれています。タグラインがブランドの本質的な価値を伝えるための言葉であるのに対して、キャッチコピーはより短期的な販売促進のための言葉と捉えてください。

キャッチコピーは柔軟に変化する

キャッチコピーは時期やターゲットに応じて細やかに変えられていきます。初夏になると中華料理店の店頭に「冷やし中華始めました」ののぼりが立てられたり、パン屋の店頭に「焼き立て販売中」とポップが表示されたりするのも、一種のキャッチコピーです。「暑くなってきたから、今日の昼ご飯は冷やし中華にしよう」「ちょうど焼き立てだそうだから、パンを買って行こう」と、通りかかった人に思ってもらえればキャッチコピーとして効果を発揮したことになります。

 

一方、タグラインは中長期的にブランドの価値を伝え、共有していくための言葉です。リブランディングなどブランドイメージを変革する場合を除いて、基本的にタグラインを変えることはありません。このように、キャッチコピーは柔軟に変化するのに対して、タグラインは普遍的な価値を伝えている点が大きな違いです。

誰に対しても、いつでも伝わるのがタグライン

タグラインはブランドの普遍的な価値を伝える言葉のため、長く使っていても色あせない言葉であることが重要です。ある時期に流行した一過性の言葉や、特定層にしか伝わらないような言葉は、タグラインに用いる言葉として適切ではありません。

 

タグラインは誰に対しても、いつでも伝わる言葉で表現されていることが非常に重要です。キャッチコピーのようにトレンドを意識した言葉や、限定されたターゲットに向けて発信される言葉ではない点に注意しましょう。

誰に対しても、いつでも伝わるのがタグライン

タグラインとキャッチコピーの関係は、「ネオンサイン」にたとえられます。ネオンサインは夜間に多くの人の目に留まるよう掲げられます。ブランディングにおいてこの役割を果たすのがキャッチコピーです。一方、ネオンサインを支えている土台に相当するのがタグラインです。ネオンサインだけを掲げるには、ネオンサインを支える土台が欠かせません。

 

ブランディングにおいても同様のことがいえます。個々の商品ごとにキャッチコピーを考案するのみで、それらを支える土台となるタグラインが確立されていなければ、ブランドとして打ち出したい価値がブレてしまいがちです。ブランドが発信するメッセージを上辺だけのコミュニケーションにしないためにも、タグラインをしっかりと固めておく必要があります。

タグラインの事例

タグラインの事例

さまざまな企業が打ち出しているタグラインの事例を紹介します。タグラインに込められたメッセージや、表現しているブランドの価値を捉えることで、タグラインを掲げる意義をより理解しやすくなるはずです。

お口の恋人/ロッテ

お菓子やアイスクリーム、健康食品などの製造・販売を手がけるロッテは、長年にわたり「お口の恋人」というタグラインを掲げています。社名の由来となった小説『若きウェルテルの悩み』の主人公シャルロッテのように、誰からも愛される企業でありたいという願いが込められています。

 

お口の恋人という5文字には、同社の主力商品であるお菓子やアイスクリームを直接的に表す言葉は使われていません。しかしながら、誰からも親しまれ愛され続けていくイメージ「恋人」という言葉に集約されており、同社のブランド価値を端的に表現している点が大きな特徴です。

カラダにピース/カルピス

カルピスは2007年より「カラダにピース」をタグラインとして掲げています。乳酸菌飲料を100年以上変わらない製法で作り続けている飲料メーカーであること、平和な気持ちにしてくれる会社であることを表現しているタグラインです。

 

飲料メーカーでありながら、主力商品の味などの特徴に直接言及するのではなく、「カラダ」と「ピース」という誰でも知っている言葉のみで構成されている点が特徴です。長年にわたり幅広い年齢層から親しまれてきたカルピスの強みは、こうした親しみやすいタグラインにも表れています。

やがて、いのちに変わるもの。/ミツカン

お酢や納豆、鍋つゆなどでおなじみのミツカングループのタグラインです。同社が調味料や加工食品のメーカーであることは広く知られています。タグラインでは食品メーカーということだけでなく、からだを作る安全で安心な商品を提供していくという思いや決意を表現している点が特徴です。

 

生活者だけでなく、従業員もまたこのタグラインによってミツカンという会社が大切にすべきものは何か、どのようなものを提供していくべきかを認識できます。企業・生活者・従業員がそれぞれの立場で受け止め、価値を共有できるタグラインといえるでしょう。

お、ねだん以上/ニトリ

家具メーカーであるニトリのタグラインです。品質という言葉を使うことなく、値段以上の品質であることを効果的に伝えています。「おねだん」ではなく「お、ねだん」とすることで、消費者側から見た驚きや満足感を表現している点も大きな特徴です。

 

家具は基本的に長く使っていくもののため、新たに購入したり買い替えたりする際に消費者は慎重に検討を重ねるでしょう。求めやすい価格というだけでなく、品質面にもこだわっていることを存分に伝えているタグラインといえます。

結果にコミットする/ライザップ

ダイエットサポートからゴルフレッスン、英会話レッスンなど、多方面で「自己投資業」を展開するライザップのタグラインです。自己投資をする消費者の心理を的確に言い当てたタグラインといえます。

 

前述のとおり、タグラインはキャッチコピーとは違い、提供する商品やサービスによって変えるものではありません。対象となるサービスがダイエットサポートであっても、ゴルフレッスンや英会話であっても、提供する価値は変わらないことを効果的に伝えています。

シゴトがはずむ/Chatwork

チャットアプリを軸に、ワークシーンに役立つさまざまなアイテムを販売しているChatworkのタグラインです。1日の約3分の1は仕事をしている時間であることを踏まえて、ワクワクしながら仕事に臨めるようにという願いが込められています。

 

単にコミュニケーションツールとしてビジネスチャットを打ち出すのではなく、同社が理想とする働き方や働く人々の気持ちに寄り添ったタグラインです。タグラインを検討する際の視点の置き方について、参考になる事例の1つといえるのではないでしょうか。

はたらくを面白く。/Wantedly

SNSで人とつながるように、企業と人との出会いをカジュアルでおもしろいものにしたいというWantedlyの理念を表現したタグラインです。ランチ面談など、従来の求人サービスにはなかった、企業と求職者との出会いの場を提供しているWantedlyのコンセプトが前面に打ち出されています。

 

タグラインには、自社の理念の根幹にあるエッセンスを込める必要があります。理念やコンセプトをタグラインに集約し、平易な言葉で表現する際に参考にしておきたい事例といえるでしょう。

地図に残る仕事。/大成建設

大規模な建築土木工事を得意とする大成建設のタグラインです。同社の理念や実績、どのような工事を手がけているのかを象徴するタグラインといえます。

 

このタグラインは建築土木業界を志す人にとって、重要な志望動機の1つを表現した言葉として印象づけられるでしょう。志を同じくする人材を採用する上でも、タグラインは大きな役割を果たすことが期待されます。社内外を問わず、自社が大切にしたい価値観をタグラインに込めることの重要性を伝えている事例です。

タグラインがもたらす3つの効果

タグラインがもたらす3つの効果

タグラインを掲げることによって、具体的にどのような効果を得られるのでしょうか。主な3つの効果について解説します。

アウトプットの根幹を支える土台となる

タグラインは企業・生活者・従業員に共有される「合い言葉」です。広告やブランディング、PR、マーケティング活動など、あらゆるアウトプットの根幹を支える土台であり、出発点となります。

 

タグラインが明確に定まっているからこそ、商品・サービスや事業領域が変わったとしても提供価値がブレることなく、一貫したメッセージを発信できるのです。

事業展開のドライブになる

タグラインは事業展開をドライブさせる役割も果たします。前掲のライザップは英会話やゴルフ、ダイエットフード販売などにも幅広く事業を展開しているものの、「TOEICの目標スコアを達成する」「ゴルフでベストスコアを出す」といったモチベーションの根幹には「結果にコミットする」というタグラインがあれば、事業目的が揺らぐことはありません。事業領域が変わったとしても、タグラインが軸となって事業展開を円滑に進められるでしょう。

 

ミツカンの例も同様です。ミツカンは2018年に「ZENB」というブランドを立ち上げています。フードロス削減を意識して素材をまるごと使ったペーストや野菜スティック、健康に配慮した豆由来の麺などを扱っています。こうした事業も「やがて、いのちに変わるもの。」というタグラインが土台になっていればこそ、「ミツカンらしい」事業として多くの生活者から自然に受け止めてもらえるのです。

インナーコミュニケーションツールとして活用できる

タグラインは従業員間のインナーコミュニケーションツールとしても活用できます。たとえばリブランディングや新規事業立ち上げの際、タグラインの開発過程そのものが自分たちの会社や商品・サービスの価値、事業の本質、実現したいビジョンなどへの理解を深め、共有するために役立つからです。

 

全員の合い言葉として根を下ろしたタグラインがあれば、人によって認識にズレが生じたり、部門によって解釈が異なったりする事態を回避できるでしょう。タグラインやステートメントを開発する方法はさまざまですが、ワークショップを開催して関係部署のメンバーによる共同作業を通じて作っていく方法をネオマーケティングではおすすめしています。強力なインナーコミュニケーションツールとしてのタグラインを、共同作業を通じて築いてみていはいかがでしょうか。

まとめ

タグラインは、企業や商品への思いやビジョンを身近な言葉で表現した「合い言葉」です。ブランドがもつ価値を短時間のうちに伝え、多くのステークホルダーがブランドを想起する状態にしていくために必要な言葉といえます。自社の提供価値を象徴するタグラインができれば、5年・10年と長きにわたって使い続けられるでしょう。

土田 琢磨
WRITER
土田 琢磨
コピーライターとしてキャリアをスタートし、国内広告会社にてクリエイティブ部門責任者・シニアクリエイティブディレクターを務めた。主に、広告クリエイティブのディレクション・コピーライティング・CMプランニングを担当。医薬品・新聞社・官公庁・教育・家電などのクライアントワークに携わる。
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