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顧客満足度調査では「高得点者」に注目すべき

2023年12月06日

カスタマーサクセス
目次

自社の商品やサービスがどう評価されているのか?
現状を把握するために、顧客満足度調査を行っている企業は少なくありません。
独自に行うことがあれば、調査会社を利用しインターネットによるアンケート調査(定量調査)や、
何人かに集まってもらいインタビューを行うグループインタビュー調査(定性調査)を行っている企業もあるでしょう。
また、顧客ロイヤルティを測る「NPS®」という指標が用いられることもあります。
そうして行った顧客満足度調査の結果、十分に活かしきれているでしょうか?

この記事では顧客満足度調査を最大限に活かすための、注意すべき二点と理由を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

顧客満足度調査を最大限に活かすためには

1. 満足度調査では高評価者に着目する
2. NPSをKPIにしてはいけない

理由1. 推奨してもらうことが何よりも大事

フィリップ・コトラーは、消費者の購買プロセスは、
商品やサービスを知り(認知)→「いいな」と思い(訴求)→いろいろ調べてみて(調査)→
購入にいたり(行動)→そして人におすすめする(推奨)――この5つのステップをたどると説明しています。
いわゆる、コトラーの「5A理論」です。
かつては、商品やサービスをそもそも知らなければ購入に至ることはありませんし、

人におすすめすることなどありえませんでした。
しかし、SNSが消費者行動に強く働きかける時代となり、買ったことはないけど「印象がいいから」

「SNSで評価が高かったから」人にすすめるということが当たり前になっています。
必ずしも、推奨してくれる人=ユーザーとは限らず、

5Aのステップは左から右へと広がる三角形だったのが、

蝶ネクタイモデルになりました。
その意味では、知ってる人の数が100人いて、その100人が誰かに推奨しているが最高のブランドだといえます。

蝶ネクタイモデル構図の説明こうした理論を引っ張り出さずとも、B to Bの場合、紹介案件がもっとも受注率高いということは、
多くの人が体感していることでしょう。
推奨・紹介は重要で、リピート率や継続率のアップ以上に「新しいお客さんを紹介してくれる」
ということが大きな目標となります。
では、どうやったら紹介してもらえるか?と考えたとき、手っ取り早いのが、
すでに紹介してくれている人に「どうして?」と聞くことです。
顧客満足度調査で高い評価を上げている人、NPS®ですでに9点10点をつけ、
推奨者になってくれている人にその理由を聞けばいいのです。

また、9点10点をつけてくれた人も最初から高評価ではなかったはずです。どこかのタイミング、
何かのきっかけで「この会社いいな」「このサービ    スいいな」と思ったはずで、
それを深掘りすると「カスタマージャーニー」、つまり、顧客がファンになってくれた道筋を知ることができます。

多くの企業は高評価をもらうと社内で共有して、「10点で良かった」「こんないい意見をもらった!」
「営業の○○さんすごい!」といった話で終わってしまいます。
一方で、低評価者に注目して、お詫びに伺って何が問題なのかを聞き取ったりしています。
そうして行われる改善がムダだとはいいませんが、低評価者を中評価者にできたとしても、おそらく長続きはしません。
“普通”のお客さんをたくさん作ることができたとしても、安価なサービスや目新しいサービスが登場したとき、
簡単に離れていってしまいます。
それよりも、ファンでいてくれ、人にすすめてくれる高評価者に着目したほうが、
合理的だということが理解できるのではないでしょうか。

 

理由2.NPSをKPIにしてはいけない

顧客満足度調査の注意点のもう一つが、NPSをKPI(重要業績評価指標)にしてはいけないということです。
NPS®を従業員の評価軸に活用している企業があります。
たとえば、人事評価シートにNPSの点数を記入する欄があったり、その改善に対してボーナスが加算されたり。
しかし、これは行うべきではないと考えています。

9点の人を10点にするのはとても難しい一方、3点や4点の人を5〜6点にすることは簡単です。
明らかな不満・問題を解消すれば点数は上がるからです。
営業スタッフにしてみると、自分の評価を上げるためには、低得点の人にあやまりに行ったほうが早いとなってしまう。
NPSを評価軸にしてしまうと、さきほど説明した「高評価者に着目する」ということができなくなってしまうのです。
ただし、目標を9点以上に設定するといったかたちでNPSを評価に使うのであれば、
自然と高評価に目がいくので価値はあると考えます。

理由3.聞くべきではないVOCもある

世の中のサービスや商品のほとんどが、平均点を取ることにもっともリソースを割いています。
前述のように、SNSの普及により消費者の購買プロセスが蝶ネクタイ型になったものの、
同時にユーザーでもない人の否定的な声も広がるようになりました。
そのため、低評価を気にしてしまう傾向は強くなっています。

しかし、ミスの少ない平均点を目指すとコモディティ化してしまいます。
どの企業のどの商品・サービスも大差なく、結果、価格勝負になってしまう。
まさに、日本のメーカーが陥っている課題です。

コールセンターに寄せられるお客様の声――VOC(Voice of Customer)が顧客満足度につながるともいわれます。
コールセンターにかかってくる電話内容をすべて文字起こしし、
それをAIで解析して不満を改善するといった施策・サービスまであります。
「お客さんの声をちゃんと聞こう」という点では共感しますが、
VOCをやみくもに重要視するのは、まったく無意味だと考えています。

コールセンターに電話をかけて文句を言ってくる人は、顧客全体の何%なのか?
その誰ともわからない人の一言を無機質に取り上げ注目することによって、
長くファンでいてくれたお客さんが離れてしまうリスクのほうが圧倒的に大きいはずです。

「お客様」の声に耳を傾けすぎると、そのブランドの軸をブレさせてしまいます。
もちろん、共感してくれている人、支持してくれている人の辛辣な意見には耳を傾けるべきです。
しかし、聞くべき声と無視していい声はきちんと切り分けるべきで、それができていない企業は少なくありません。
顧客満足度調査は高評価の声に注目する。着眼点を変えるだけで、
顧客満足度調査の活かし方、その先の施策は大きく変わっていきます。

 


Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、
フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

 

荒池 和史
WRITER
荒池 和史
新卒でセブン‐イレブン・ジャパンに入社、イー・ガーディアン株式会社で取締役や子会社の代表を経験後、現在はネオマーケティングで事業全体の管掌と新規事業開発に取り組んでいます。
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