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0から始めるインサイドセールス 立ち上げに必要な7項目を解説

2024年01月25日

0から始めるインサイドセールス 立ち上げに必要な7項目を解説
目次

インサイドセールスとは、メールや電話を駆使した非対面型の営業手法のことです。外勤営業(フィールドセールス)と対をなすポジションとして位置づけられています。インサイドセールスの導入により、リードタイム(検討期間)が長期間にわたる商材であっても、見込み顧客の購買意欲が高まったタイミングでアプローチが可能です。また、近年は営業担当者の人手不足や働き方の多様化が加速しており、限られた人員で多くの顧客をカバーできるインサイドセールスに注目が集まっています。

今回は、インサイドセールス部門を0から立ち上げる際に必要な7項目について、それぞれのポイントをわかりやすく解説します。インサイドセールスの導入を検討している事業者様は、ぜひ参考にしてください。

1. 予算計画

インサイドセールス部門を立ち上げるにあたって、第一に取り組むべきことは予算計画をはじめとするリソースの整理・確保です。検討しておくべきポイントとして、次の3点が挙げられます。

目的・目標の明確化

そもそもなぜインサイドセールスを導入する必要があるのか、目的・目標を明確にしておくことが重要です。たとえば、見込み顧客との関係構築や商談設定の強化など、自社にとっての主目的を明らかにした上で、達成すべきゴールを設定しておく必要があります。

他社がインサイドセールスを導入する事例が増えているから、といった曖昧な理由で導入を決めてしまうと、インサイドセールス部門がテレアポ部隊と変わらなくなってしまう恐れがあります。先に目的・目標を明確化し、具体的な施策設計を逆算して検討するのがポイントです。

リソースの整理

インサイドセールス部門に担当者を何名配置できるか、ツール導入などの初期コストとして予算をどれだけ確保できるのか、リソースを整理しておく必要があります。人員や予算は十分に確保できるのが理想ですが、実際には現状確保できる範囲内で対応せざるを得ないケースも多いでしょう。先に制約条件を明らかにしておき、その範囲内でベストを尽くすという発想で進めるほうが現実的です。

予算計画の策定

目的・目標の決定とリソースの整理が完了したら、いよいよ予算計画の策定へと移ります。予算計画はインサイドセールス単独で検討するのではなく、営業プロセス全体の流れを踏まえて策定していくことが重要です。インサイドセールスはマーケティングとフィールドセールスをつなぐ役割を果たすポジションであることから、営業プロセスの中で果たす役割を見据えた計画を立てる必要があるからです。マーケティングチームやフィールドセールスチームとの役割分担を明確にした上で、インサイドセールス部門の予算計画を策定しましょう。

2. ターゲット市場の分析

2. ターゲット市場の分析

インサイドセールスは非対面の営業手法であることから、外勤営業以上にターゲット市場の分析が重要なプロセスとして位置づけられます。興味関心をもってもらうためのアプローチや説得・交渉のハードルが高い分、潜在ニーズがある可能性の高い相手をターゲットに設定する必要があるからです。具体的には、次の手順でターゲット市場の分析を進めましょう。

STP分析

STP分析とは、自社が最も収益を上げられそうな集団を特定するための分析手法です。STPはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを表しています。多様なニーズのある巨大な市場を小さな単位に分割した上で、自社が闘うべきフィールドを見極める際に活用されています。

すでにフィールドセールス部門がある組織においては、インサイドセールス部門がターゲットとする顧客をより限られた範囲に設定することも想定されます。リードタイムが長い商材や、対象となる顧客数が多く同時並行で対応する必要があるケースなどは、インサイドセールス部門が引き受けるほうが得策でしょう。

アプローチ対象の決定

ターゲット層が特定できたら、次にインサイドセールス部門としてアプローチすべき対象を絞り込んでいきます。「イベント参加者」「資料をダウンロードしたユーザー」といったように、具体的な条件を設定しておくことが重要です。

アプローチ対象に曖昧な点が残っていると、業務範囲が不明確になったり、営業プロセスにブレが生じたりする原因にもなりかねません。具体的にどのようなケースにおいてインサイドセールス部門が見込み顧客への対応を担うのか、条件を明確にしておきましょう。

シナリオ設計

シナリオ設計とは、「どのようなシーンで」「どのような情報を提供するのか」「ターゲットの行動変容をどのように促すのか」を設計することを指します。たとえば、展示会で商品の実物を手にした見込み顧客と、Webサイトを見て問い合わせてきた見込み顧客に対して、同じ方法でアプローチするのは得策とはいえません。どのような手順を踏んで購買意欲を高めていくのか、具体的なタイミングと届けるべき情報、活用するチャネルを想定されるタッチポイントごとに設計しておく必要があります。

3. セールスプロセスのマッピング

設計したシナリオを施策に落とし込んでいくには、セールスプロセスのマッピングが必要です。具体的に取り組むべきことについて、ポイントを押さえて解説します。

見込み顧客のフェーズ

見込み顧客がどのような状況にあるかによって、講じるべきアプローチも異なります。したがって、見込み顧客のフェーズを次のように分類しておくことが重要です。

・認知

・情報収集

・検討

・購買

・継続

ここでのポイントは、各フェーズにおいて見込み顧客がどのような状態にあるのか、具体的に捉えることです。

ペルソナを設定し、ペルソナが各フェーズで何を考え、何を感じるのか、詳細なイメージを形成しておきましょう。

シーンとチャネル

シーンとは具体的なタッチポイントと伝える情報を指し、チャネルとは伝え方(媒体)のことを指しています。

見込み顧客のフェーズごとに、何をどのようにして伝えるのか戦略を設計しておくことが大切です。

具体例を見ていきましょう。

・認知:Web広告で商品の存在(商品名・最大のアピールポイント)を知る

・情報収集:Webサイトの問い合わせフォームから商品について問い合わせる

・検討:他社Webサイトを閲覧し、機能や料金を比較する

・購買:商談を設定し、フィールドセールスへ引き継ぐ

・継続:メルマガを通して定期的な情報提供を実施する

見込み顧客の思考・行動

見込み顧客の思考と行動を想定しておくことも大切なポイントです。表層的な行動だけでなく、その背景にどのような思考が働いているのかを深く洞察する必要があります。顧客のフェーズごとに、思考と行動の例を見ていきましょう。

・認知:どのような商品なのか気になる→記憶に留める・商品名をメモする

・情報収集:商品の詳細を知りたい→問い合わせフォームを探す・電話をかける

・検討:よりよい選択肢がないか確認したい→Web検索・見積もり依頼

・購買:契約すべきサービスを決定する→具体的な契約の流れを確認する

・継続:商品のバージョンアップ情報を知りたい→メルマガの情報をチェックする

4. ツールとインフラの構築

ツールとインフラの構築

インサイドセールスにおいては、複数の担当者間で顧客情報を共有し、営業活動をチーム単位で進めていくことが前提となります。こうした情報共有の仕組みを構築する上で求められるのが、ツールとインフラの構築です。

MA:認知フェーズ

見込み顧客に商品の存在を認知してもらう段階から、案件化までのフェーズによく活用されているのがMA(マーケティングオートメーション)です。MAはリード管理や購買意欲のスコアリング、メール配信などを行う際に活用されます。

MAを駆使することで、感覚や経験則に頼らない客観性の高い施策を講じやすくなります。たとえば、購買意欲のスコアリングに応じて商談を設定するルールを定めることで、どの担当者が対応しても同じ判断を下せるのです。また、見込み顧客のフェーズに合わせて講じるべきアクションや送信すべきメッセージを決めておくことにより、業務の属人化を回避できます。

SFA:検討フェーズ

商談管理や行動管理のためのツールとしてよく活用されている営業支援ツールが、SFA(セールスフォースオートメーション)です。営業活動に関わるデータを一元管理できることにより、商談の進捗状況や営業プロセスを可視化する上で役立ちます。

インサイドセールスにおいては、フィールドセールスへ見込み顧客をスムーズに引き継ぐことがSFAの主な活用目的です。インサイドセールスの担当者によって引き継ぎ方法がまちまちにならないよう、案件化から受注までのプロセスを標準化するのに有効なツールといえます。

CRM:購入・継続フェーズ

受注後のフェーズにおいてよく活用されているツールが、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)です。CRMは主に顧客情報の管理や対応履歴の管理、販売管理などに役立ちます。

インサイドセールスの役割は、商談化までのフェーズを担当することだけではありません。商談成立・受注確定後も顧客との良好な関係を維持していくことにより、アップセルやクロスセルの機会創出へとつながるからです。顧客満足度の向上を図り、顧客ロイヤリティを高めていくことも、インサイドセールスを成功させる上で重要な要素の1つといえます。

5. コンテンツ戦略の策定

インサイドセールスを成功させるには、顧客のフェーズに即したコンテンツ戦略を策定する必要があります。認知フェーズ、検討フェーズ、購入・継続フェーズに必要なコンテンツの例を見ていきましょう。

認知フェーズに必要なコンテンツ

認知フェーズにおいては、自社の商材について存在そのものを知ってもらうためのコンテンツが必要です。たとえば、オウンドメディアによる情報発信や、LPによる商品紹介などは、認知フェーズに適した媒体の好例といえます。

認知フェーズの見込み顧客は、そもそも自社やその商品・サービスについて知識や情報を保有していません。したがって、企業名や商品名を直接検索して調べる可能性は低いと考えられます。また、見込み顧客自身が課題に気づいていないこともあり得るため、課題の特定や明確化に役立つ情報を発信していくことが大切です。

検討フェーズに必要なコンテンツ

検討フェーズにおいては、見込み顧客にとって有益な情報や、継続的に受け取る意義のある情報を届ける必要があります。一例として、メルマガなどのプッシュ型メディアを活用し、定期的に有益な情報を届けるといった手法が有効でしょう。

検討フェーズの見込み顧客によっては、事業の状況や決算期などの関係で今すぐに商品・サービスを導入できないケースも想定されます。商品やサービスそのものに特段の懸念点や不満な点がなかったとしても、見込み顧客との接点が途切れることが機会損失につながる可能性もあるのです。今すぐに購買へとつながらない見込み顧客に対してきめ細かな情報発信を継続し、リードナーチャリングを進めていくことが求められます。

購入・継続フェーズに必要なコンテンツ

購入・継続フェーズにおいては、アフターフォローのための情報を発信していくことが求められます。メール配信や会員専用ページ・アプリなどを活用し、顧客との接点を維持していくことが大切です。

顧客数が増えていくにつれて、11件の顧客に個別の対応をするのが現実的に難しくなっていくことも想定されます。大半の顧客に関わりのある情報は一括で配信したり、セグメント配信を活用して企業規模や業種などの条件別に情報を届けたりすることにより、効果的な顧客フォローを効率よく実現できるでしょう。

6. パフォーマンス管理

6. パフォーマンス管理

インサイドセールスの効果を十分に引き出すには、パフォーマンス管理を適切に行うことも大切です。パフォーマンス管理において必要とされる、KPI設定・メトリクス設定・PDCAサイクルについて解説します。

KPIの設定

KPI(重要業績評価指標)とは、KGI(重要目標達成指標)の達成に必要とされる業績を定量的に把握するための指標です。インサイドセールスが果たすべき役割は、見込み顧客との深い信頼関係を築き、商談すべタイミングを見極めた上で、提案活動を行うフィールドセールスへ案件を引き継ぐことにあります。よって、次に挙げるようなKPIを設定し、進捗を管理していくことが求められるでしょう。

・コネクト数:アプローチしたい相手と直接会話ができた回数

・商談化件数:提案機会のアポイントから新たな商談へとつながった回数

・商談への貢献率:インサイドセールスが貢献した金額や商談化件数

これらのKPIを量の面だけでなく、質の面からもバランスよく管理していくことが重要です。

メトリクス(測定指標)の設定

メトリクスとは、さまざまな活動を定量化し、データ管理に活用できるように加工した測定指標のことを指します。インサイドセールスにおいては、見込み顧客にアプローチすべきタイミングを見極める基準を決定・共有し、メトリクスとして設定しておくことが重要です。

 

担当者ごとの判断によって商談化のタイミングに差異が生じることのないよう、見込み顧客の購買意欲をスコアリングし、スコアが一定水準に達したらアプローチへと移行する方法をおすすめします。担当者独自の感覚や経験則にもとづく判断に依存すると、業務の属人化やプロセスのブラックボックス化につながる恐れがあるため注意してください。

PDCAサイクルを回す

KPIの進捗管理とメトリクスのブラッシュアップを通じて、施策全体の精度向上を図っていくことが大切です。そのためには、ささいな課題や問題点を見落とさず、丁寧に拾い上げた上で改善を図っていく必要があります。

 

とくにインサイドセールスは非対面による営業手法のため、見込み顧客の反応がダイレクトに伝わりにくい傾向があります。各担当者が主体的に探しに行かなければ改善点が見つかりにくくなる可能性もあるため、短いスパンでPDCAサイクルを回せるよう、常に課題の共有と改善策の実行を繰り返していく必要があるでしょう。

7. 長期戦略の策定

インサイドセールスの立ち上げに際しては、長期戦略を策定しておくことが非常に重要です。なぜ長期戦略の策定が重要なのか、求められている戦略とはどのようなものか、詳しく見ていきましょう。

インサイドセールスにおける長期戦略の重要性

インサイドセールスは、そもそもリードタイムの長い商材を案件化することを主目的とする施策です。短期的な成果を求めるのではなく、長期的な活動を見据えて戦略を立てておく必要があります。

長期戦略の策定は、インサイドセールス担当者間で共通認識にもとづいて業務を推進するために必要となるだけではありません。他部門や経営層に、インサイドセールス導入の目的や期待される効果を正しく理解してもらうためにも重要なポイントです。立ち上げ直後から直近数年間の計画だけでなく、長期的な展望を踏まえた戦略を立てておくことが求められます。

インサイドセールス担当者の育成

インサイドセールスでは非対面による応対が中心となるため、応対の質が成否を分ける鍵となります。インサイドセールス担当者のスキル向上を継続的に図るよう、人材育成に向けた計画を立てておくことが大切です。

たとえば、MASFACRMといった各種ツールの活用方法や、データ分析のスキルを研鑽していくことが求められます。定期的に研修や勉強会を開催するなど、担当者がインサイドセールスに必要なスキル・能力を高めていける環境を整えましょう。

持続的な成長を促進する戦略へ

インサイドセールスが果たす役割には商談設定や案件化だけでなく、既存顧客との関係深化による満足度向上や顧客ロイヤリティ向上も含まれます。将来的なアップセルやクロスセルも見据えた戦略を構築することにより、長期にわたって業績に貢献できる可能性を秘めているのです。

国内の人口が減少へと転じ、新規顧客獲得が難化の一途をたどっている今、インサイドセールスは事業の持続的な成長を促進する可能性のあるセクションの1つとなり得ます。このように、インサイドセールスが組織内で果たす役割を俯瞰的に捉え、持続的な成長を促進する戦略を講じていくことが大切です。

まとめ

インサイドセールスを0から立ち上げるにあたって、検討・準備すべきことは多岐にわたります。今回紹介した7項目を参考に、ぜひインサイドセールスの成功に向けて着実に準備を進めてください。インサイドセールスが果たす役割や機能を十分に理解した上で立ち上げを進めることにより、組織にとって売上の柱となる重要なセクションへと成長していく可能性は十分にあるでしょう。

荒池 和史
WRITER
荒池 和史
新卒でセブン‐イレブン・ジャパンに入社、イー・ガーディアン株式会社で取締役や子会社の代表を経験後、現在はネオマーケティングで事業全体の管掌と新規事業開発に取り組んでいます。
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