前述のとおり、コンテンツSEOは広告を活用する施策とは考え方が大きく異なります。広告費をかけずに検索上位表示を目指すため、低予算で実践できる点が大きなメリットです。
ただし、コンテンツ制作やWebサイトの運用などを外部の事業者に委託する場合は費用が発生します。すべての工程を社内で完結できれば外注費は発生しないものの、質の高いコンテンツを継続的に制作するには相応のリソースが不可欠です。低予算で実践できるとはいえ、一定の費用がかかる点は押さえておく必要があるでしょう。
コンテンツが自社の資産になる
制作したコンテンツが自社のWebサイトに蓄積されていき、自社の資産となる点もメリットの1つです。広告施策の場合、基本的に広告費の投入を停止した時点で施策の効果は失われてしまいます。コンテンツSEOではアップロードしたコンテンツを削除しない限り、長期にわたって効果を発揮し続けるのです。
有益なコンテンツが数多く蓄積されていけば、その分だけ自社の資産も充実していきます。豊富なコンテンツを掲載しているWebサイト自体が、自社のブランド価値向上に寄与する可能性も十分にあるのです。
潜在層にリーチできる可能性がある
自社の企業名や商品・サービス名を検索する可能性の低い潜在層にもリーチできる点は、コンテンツSEOの大きな強みといえます。広告施策のように商品名などを直接訴求せず、ユーザーが抱えている課題や悩みに応える過程で、自社やその商品を知るきっかけを提供できるからです。
また、多くのユーザーにとって有益なコンテンツであれば、SNSなどでシェアされる可能性もあります。SNSは拡散性の高いメディアのため、場合によっては爆発的に認知が広がることもあり得るでしょう。結果として、潜在層と接点をもつ機会を増やせるのです。
ブランディング施策の一環としても有効
コンテンツSEOはブランディング施策の一環としても有効です。発信している情報への信頼性が、企業・ブランドに対する信頼醸成へとつながるからです。
ユーザーは当初、検索結果の中から役立ちそうなWebサイトを見つけます。同様のテーマで何度か検索しているうちに、「このWebサイトを最近よく見かける」「有益な情報を提供しているサイトのようだ」と認識するでしょう。提供元の企業やその商品にも興味をもつようになり、潜在顧客から顕在顧客へと移行していくのです。ブランディング施策に欠かせない信頼醸成の一翼を担える点は、コンテンツSEOのメリットの1つといえます。
コンテンツSEOのやり方
コンテンツSEOの具体的な進め方について解説します。コンテンツはあくまでも成果物のため、制作に至るまでの準備を入念に行うことが非常に重要です。
1. ペルソナを設定する
コンテンツSEOの土台となるのは「誰に」「何を」発信するか、という2点です。このうち「誰に」を固めることをターゲティングといいます。ターゲットは「30代男性」のような漠然とした顧客像ではなく、特定の一人に絞られるまで深掘りしておくことが大切です。
氏名・年齢・性別・居住地のほか、価値観やライフスタイル、現在抱えている課題などを具体化した顧客像を「ペルソナ」といいます。既存顧客や従業員の情報も参考にしながら、ペルソナを設定しましょう。
2. 検索ニーズの調査を実施する
次に、ペルソナに向けて「何を」発信するのかを決めていきます。コンテンツの軸となるキーワードの候補を複数挙げ、実際にどの程度検索されているのかを示す「検索ボリューム」を調査しましょう。検索ボリュームは大きければ大きいほどよいとは限りません。検索ボリュームが極めて大きいビッグキーワードは競合が多く、上位表示を実現するのは困難なケースがほとんどです。SEO効果を挙げるには、適度な検索ボリュームのキーワードを組み合わせた「ロングテールキーワード」を狙うことをおすすめします。
3. テーマ一覧を作成する
対策キーワードをユーザーの検索意図に応じてグループ分けします。グループごとにテーマを設定し、制作するコンテンツのテーマ一覧を作成しましょう。
具体的には、キーワード+関連キーワード、または共起語といった複数の組み合わせを列挙していきます。このテーマ一覧の件数が限られているとコンテンツが「ネタ切れ」になりやすいため、あらかじめ一定量を用意しておくのが得策です。キーワード数が足りない場合は前のプロセスに戻り、検索ニーズの調査と検索意図の分析を繰り返してください。
4. コンテンツを制作する
記事テーマごとに構成案を作成しましょう。構成案の段階で記事の見出し・中見出し・小見出しを決めておく必要があります。その際、各見出しにキーワードやサブキーワードを含めることを意識してください。検索エンジンのクローラーは、各見出しを参考に記事構成を把握するからです。
構成案が完成したら、構成に沿って記事を書いていきます。執筆を社内外のどちらで行う場合にも、表記のルールやトンマナなどをまとめたマニュアルを共有し、認識のずれが生じるのを防ぐことが大切です。
5. 効果検証と分析・リライトを行う
記事公開後は、定期的に効果検証を行います。記事を公開してから検索結果に反映されるまでには数週間〜数カ月かかるため、新規記事の作成と既存記事の検証・分析を並行して進めていくのがポイントです。
思うように検索順位が上がらない・アクセス数が伸びない記事については、原因を分析した上でリライトを実施しましょう。競合サイトの上位記事を分析し、自社サイトに足りない情報や古い情報がないかチェックしていく必要があります。リライトを実施する際には記事全体の30%以上を加筆・修正することにより、SEO効果が現れやすくなります。
コンテンツSEOで成果を出すコツ
コンテンツSEOで成果を出すためのコツを紹介します。次に挙げる5点を実践して、質の高いコンテンツを継続的に提供していきましょう。
社内体制を整備する
コンテンツSEOを実践するには、多くの工程を必要とします。中長期にわたるコンテンツ制作に対応できる予算・人員といったリソースを確保し、社内体制を整備することは必須条件です。
専任の編集者と運営チームを設置するのが理想ですが、現実的には他業務と兼務せざるを得ない場合もあるでしょう。本業の傍らコンテンツSEOに取り組むというスタンスではなく、コンテンツの企画・制作・効果検証に必要な時間をあらかじめ確保しておくことが重要です。
データにもとづいて戦略を立てる
コンテンツSEOには戦略が欠かせません。キーワード調査や競合分析、パフォーマンス評価を行う際には直感や経験則に頼るのではなく、ツールを活用してデータを元に判断する習慣を身につけましょう。
客観性の高い指標にもとづいて戦略を構築することは、担当者間で目標や進捗状況を確認する上で重要なポイントといえます。担当者によって分析方法や講じる施策が異なることのないよう、データに立脚した判断を重視してください。
ユーザーニーズをコンテンツに反映させる
対策キーワードの検討時はもちろんのこと、記事を執筆していく過程においても、ユーザーニーズを念頭に置いて制作を進める必要があります。ユーザーの検索意図や抱えている課題を深掘りし、疑問に答える記事づくりを目指しましょう。
たとえば、Q&Aサイトに掲載されている質問事項や、検索結果に表示される「関連する質問」などには、ユーザーニーズが反映されているケースが少なくありません。こうした情報を参照しながら、ユーザーが知りたいこと・求めている情報をくみ取っていくことが大切です。
コンテンツのエビデンスを重視する
コンテンツ内で引用する資料やデータは、出典を明らかにする必要があります。記事を書いた人物の主観や感覚ではなく、信頼性・正確性の高いデータであることを示すことが重要です。
具体的には、官公庁が公表しているデータなど公的な情報を中心に参照・引用することをおすすめします。他サイトに掲載されているデータの孫引きではなく、必ず出典元や許諾申請の要否を確認した上でコンテンツに使用してください。
リライトの工数も加味して運営計画を立てる
コンテンツSEOで成果を出すには、新規コンテンツの制作と並行してリライトを進めていくことが大切です。検索順位は常に変動しています。新たに検索上位に浮上した競合記事がないか、自社のコンテンツに不足している点がないか、随時チェックしてください。
リライトを計画的に進めるには、あらかじめリライトの工数も加味して運営計画を立てる必要があります。リソースを確保する際には、新規コンテンツの制作とリライトを両立させることを前提に検討しましょう。