新規顧客獲得のために取り入れるべき施策を見極める際には、「小さくとも早くに成果が得られる施策」であるかどうかを軸に判断しましょう。はじめから大規模な施策を取り入れようとすると、実際に成果が得られるかどうかが不明確であることから、自社に適さない施策を選んでしまうおそれがあります。小規模の導入が可能で早期に成果が現れる施策を選ぶことにより、マーケティング施策に対する社内の理解を得やすくなるでしょう。結果として予算を確保しやすくなったり、他部門の協力を得られたりする確度が高まります。
1. 広告×LP
施策の概要
Web広告経由でLPへ誘導し、自社の商品・サービスを認知してもらう方法です。商品・サービスの存在を認知していない見込み客や、ニーズが顕在化していない見込み客との接点の構築に効果が見込めます。
おすすめポイント
Web広告とLPはいずれも比較的低予算・短期間で制作しやすく、小規模な施策から始めたい場合に適した手法です。複数のパターンの広告やLPを制作してA/Bテストを実施することにより、効果の検証と改善を短いサイクルで繰り返せます。
施策の進め方
広告×LP施策を講じるために必要な準備は、「LPの制作」「広告クリエイティブ制作」の2点です。既存顧客の導入理由やアンケート結果などを参考に、商品・サービスの訴求ポイントを絞り込ます。訴求ポイントを前面に打ち出したLPを制作し、さらにLPを訪問する見込み客が潜在的に抱えている課題を分析しましょう。「〇〇に困っていませんか?」「〇〇を解決したい担当者様へ」といった文言を広告バナーに掲載することで、課題の解決策をLPにて提示できます。
2. 比較・見積サイト
施策の概要
商品・サービスの比較サイトや、一括見積もりが可能なサイトに自社の商品・サービスを掲載してもらう方法です。購入や契約を検討しているものの、実際に問い合わせるほど必要に迫られていない見込み客を取り込みたい場合に適しています。
おすすめポイント
比較・見積サイトは、比較検討の段階に入りつつある見込み客とのファーストコンタクトに有効です。近年、「営業担当者から情報を提供してもらう」のではなく、「インターネット検索を通じて自社で情報を収集する」といったケースが増えています。情報収集の段階でいかに具体的な情報を提供できるかが、成否を分けるポイントといっても過言ではありません。
施策の進め方
見込み客が事前に把握しておきたいポイントを絞り込み、Webサイトに反映させることが重要です。たとえば、機能やユーザー数別の料金プランなどは、複数社の商品紹介ページを詳細に調査する作業は時間と労力を要することが想定されます。こうした情報をワンストップで提供できるサイトにすることで、見込み客が情報収集に要する手間を大幅に軽減できるでしょう。
比較・見積サイトを運営している企業に自社の商品・サービスを掲載してもらうよう依頼するほか、BtoBマーケティング企業向けのサービスを活用する方法もあります。下記はBtoBサービス比較サイトの一例です。
・マーケメディア:ホワイトペーパーやセミナー資料などを掲載したい場合におすすめ
・ferret:まとめ資料やお役立ちツールなどを掲載したい場合におすすめ
・LISKUL:調査レポートやノウハウ系資料などを掲載したい場合におすすめ
3. 決裁者マッチング
施策の概要
決裁者マッチングサービスとは、商品・サービスを「売りたい」企業と「買いたい」企業の決裁者を仲介するサービスのことです。より広い意味での決裁者マッチングサービスの中には、決裁に限らず企業担当者も含まれている(企業と企業のマッチング)サービスもあります。キーパーソンに直接アプローチできるため、商談設定までのプロセスや相手先の社内における意思決定のプロセスをショートカットできる点が大きなメリットです。
おすすめポイント
BtoBマーケティングでは、リードタイムが長期化しやすい傾向があります。ファーストコンタクトを試みた相手が決裁者ではないケースも多いことから、相手先の意思決定プロセスやキーパーソンをヒアリングしていく必要があるからです。決裁者マッチングサービスを活用することで、こうした一連のプロセスを大幅に短縮できる可能性があります。インサイドセールスの成功確度を高めたい事業者様や、早期に成果を上げたい事業者様におすすめです。
施策の進め方
決裁者マッチングサービスに登録し、必要に応じて所定の審査を受けます。サービスへのログイン情報を取得後、自社の商品・サービスに関心を寄せる可能性の高いキーパーソンを検索し、順次アプローチしましょう。おすすめの決裁者マッチングサービスとして、下記の3つが挙げられます。
サービス名 |
特徴 |
オンリーストーリー |
完全審査制の決裁者マッチングサービス。登録者は全員が決裁者のため、キーパーソンを効率よく見つけられる。2024年6月時点での登録決済者数は7,000人超。
公式サイト:https://onlystory.co.jp |
ビジネスタンク |
13万社以上の企業・12万名以上の経営者が利用する決裁者マッチングサービス。メガバンクや主力地方銀行との連携により、全国規模の経営者ネットワークを実現。取引が見込める営業ターゲットの選定や営業同行による提案フォロー・サポートも受けられる。
公式サイト:https://www.business-tank.co.jp |
CXOバンク |
審査を通過した会社役員のみを対象とした決裁者マッチングサービス。毎日3名の決裁者がレコメンドされ、「興味あり」ボタンを押すことで手軽にアプローチが可能。2021年4月時点でマッチング総数20,000組を突破。
公式サイト:https://lp.cxobank.jp |
4. 紹介
施策の概要
いわゆる「人づて」の紹介を通じて新規顧客の獲得を実現する方法です。古くから存在する手法ですが、信頼できる人物が仲介役となることで情報収集や提案がスムーズに進む可能性が高いことから、現在も有効な新規顧客の開拓方法といえます。
おすすめポイント
すでに関わりのある人物から紹介を受けることにより、アプローチ先の企業との間に強力なパイプが築かれます。見込み客にとっても、既知の人物からの紹介であれば競合他社ではなく「この会社にお願いしたい」と感じる有力な動機となるでしょう。
施策の進め方
紹介を依頼する人物として、下記のパターンが想定されます。
・従業員の前職での取引先
・現在の取引先の別部署
・取引先による他社紹介
・ウェビナーやビジネスマッチングで知り合った人物からの紹介
紹介を通じて新規顧客の獲得につなげていくには、「紹介していただきたい」という意思を明確に示すことが重要です。たとえば、営業担当者の名刺に「〇〇に課題を抱えている企業のご担当者様をご紹介ください」と記載したり、会社案内や商品カタログ、自社ホームページなど関係者の目に触れる資料に紹介依頼の文言を載せたりする方法が考えられます。
また、紹介する側・紹介される側の双方にとってメリットとなる特典や謝礼を用意することも重要なポイントです。自社商品・サービスを一般ユーザーよりもお得に利用できる特典をつけたり、ギフトカードなどの謝礼を設けたりするなど、インセンティブを明示することによって紹介を促しましょう。