自社が独自に実施した調査の結果をまとめた資料です。掲載されているのは一次情報のため、インターネット検索などでは得られない希少な情報といえます。また、情報の客観性が高く説得力があるため、ダウンロードされやすい傾向があるのも特徴の一つです。
また、独自に調査を実施するには相応のサンプル数が欠かせません。したがって、調査レポートを公開していること自体がその分野における専門性や権威性を伝えることにもつながります。
2. イベントレポート
自社開催の展示会や、カンファレンス登壇時の様子などをダイジェストで伝える資料です。イベントに参加しなかった企業担当者が当日の様子を追体験できることに加え、その分野・領域におけるオピニオンリーダーであることを印象づける効果が期待できます。
たとえば、業界全体で注目されているトピックや、関心が集まっているテーマと関わりの深いイベントであれば、業界関係者にダウンロードされる可能性が高いでしょう。自然とターゲットが絞られることから、見込み客を効率良く獲得できる可能性があります。
3. 事例/ノウハウ集
商品・サービスの導入事例や活用ノウハウを紹介する資料です。具体的な事例やノウハウは広く公開されていないケースが多いことから、具体的な導入・活用効果を知りたいと考えている見込み客にとって有益な情報となる可能性があります。
既存顧客に対してインタビューやアンケートを実施し、各社が抱えていた課題や解決に役立った点をまとめることで、商品・サービスを比較検討している段階の見込み客から関心を寄せられる資料となるでしょう。商品紹介にとどまらず、見込み客の課題解決の一助となる資料づくりを心がけるのがポイントです。
4. 商品・サービス比較
自社商品と競合商品を比較し、それぞれのメリットを伝える資料です。商品・サービスを比較検討中の見込み客にとって、自社で調査を進める手間を軽減するまとめ資料として役立ちます。
信頼性の高いホワイトペーパーにするには、自社商品のメリット面ばかりを強調しすぎないことが大切です。できるだけ中立な立場で商品・サービスを比較し、実態に即した内容にすることで、自社商品のメリット面を求める見込み客による問い合わせを獲得しやすくなります。
5. お役立ちツール
テンプレート集やチェックシートなど、業務に役立つツールを提供する趣旨のホワイトペーパーです。自社がすでに保有している知見やノウハウを活かすことにより、新たに調査などを実施することなく作成できます。
ただし、無償で提供されるお役立ちツールを活用すること自体が目的のユーザーが多いことが想定されるため、自社商品・サービスへの問い合わせにつなげる工夫が必要です。より利便性の高いツールとして有償版を紹介するなど、無償版との連続性を意識して作成する必要があります。
ホワイトペーパーを作成する手順
ホワイトペーパーを作成する際の基本的な手順を紹介します。どの種類のホワイトペーパーを作成する際にも、下記に挙げる6つのステップに沿って進めることが大切です。
1. ターゲットを決定する
ホワイトペーパーを作成するにあたって、誰に向けた資料なのかを明確にしておく必要があります。誰にでも役立つ資料を目指して作成すると、結果として誰のための資料なのかが曖昧になりかねません。誰に向けてどのような情報を提供すべきかを決めることで、作成すべきホワイトペーパーの種類や掲載する情報、表現方法やデザインなどの方向性が定まります。
ターゲットを決める際には、実在する一人を想定したペルソナを設定しておくのが得策です。ペルソナが抱えている課題や要望を把握しやすくなり、見込み客にとって有益なコンテンツをイメージしやすくなるでしょう。
2. テーマを定める
ターゲットが抱えている課題の解決に役立つテーマを絞り込んでいきます。見込み客がすでに得ている情報量や知識量を想定し、ターゲットにとって「ちょうど知りたいと思っていたこと」をテーマに設定できるかどうかがポイントです。
ホワイトペーパーのテーマは、ダウンロード数を大きく左右する重要な要素といえます。既存顧客から受けた問い合わせ内容なども参考に、ターゲットにとって有益なテーマを設定しましょう。
3. 全体の構成を決める
決定したテーマに沿って、ホワイトペーパー全体の構成を決めていきます。一般的なホワイトペーパーの構成は下記のとおりです。
- 目的:ホワイトペーパーの趣旨や解決できる課題について簡潔に述べる
- 導入文:テーマに関する近年の動向など、概論を記載する
- 問題提起:ターゲットが抱えていると思われる課題を掲げる
- 解決策の提示:どうすれば課題を解決できるのか、具体的な方法を伝える
- 製品紹介:解決策の一つとして自社製品のメリットや特長を紹介する
- 結論:目的や問題提起に立ち返り、ホワイトペーパー全体のまとめを記載する
作成するホワイトペーパーの種類によって項目を変更する場合はあるものの、基本的には上記の流れで作成することで読みやすく理解しやすい資料となります。どの項目に何ページを使うかなど、ページの分割(ページネーション)をあらかじめ決めておくと原稿を作成しやすいでしょう。
4. 原稿執筆
ホワイトペーパーの作成に必要なデータなどを収集し、状況によっては取材やリサーチをした上で本文を作成していきます。掲載するデータは自社で独自に調査したものが理想ですが、引用する場合には信頼性の高い情報源を選び、出典元を明記することが大切です。
なお、掲載するデータは必ずしも新たに調査して得たものでなくても構いません。過去の購買データなどが蓄積されていれば、既存のデータを分析することで資料化できるケースも少なくないからです。社内に蓄積されているデータを洗い出し、ホワイトペーパー作成に活用してみてはいかがでしょうか。
5. デザイン・レイアウト
ホワイトペーパーのデザインやレイアウトは、ダウンロードした見込み客に最後まで読んでもらえるかどうかを決定づける要素となり得ます。文字数をできるだけ抑え、視覚に訴える図解や図表を挿入することで、見やすく興味を引くビジュアルにするのがポイントです。
また、設定したターゲット/ペルソナに適したデザインを意識することも重要です。一般的にBtoB向けのホワイトペーパーであれば、見やすさを重視したシンプルな配色やレイアウトにするのが適しています。
6. 校正
ホワイトペーパーを作り終えたら、必ず複数名で校正をしましょう。誤字脱字や表記ゆれが残った状態で公開してしまうと、ホワイトペーパー全体の信頼性が損なわれかねません。このほか、ホワイトペーパー内で矛盾した内容が掲載されていないか、見込み客にとって理解しにくい専門用語や社内用語が使われていないか、といった点をチェックしておくことも大切です。ホワイトペーパーの作成に携わっていない従業員に資料を熟読してもらうなど、第三者の目で校正しておくことをおすすめします。
ホワイトペーパーを効率良く作成する方法
有益な情報提供につながるホワイトペーパーを作成するには、相応の手間や時間がかかります。よって、ホワイトペーパーをできるだけ効率良く作成する方法を押さえておくことも重要なポイントの一つです。ホワイトペーパーを効率的に作成する上で役立つ3つの方法を紹介します。
テンプレートを利用する
ホワイトペーパーのデザインやレイアウトは自社でデザインする方法もありますが、既存のテンプレートを活用することで効率的に作成することも可能です。スライド資料や文書のテンプレートを提供している下記のようなサービスを利用すれば、質の高いデザインのホワイトペーパーを手軽に作成できるでしょう。
【ホワイトペーパーのテンプレートが利用できるサービスの例】
・Canva https://www.canva.com/ja_jp/create/reports/
・Adobe Express https://www.adobe.com/jp/express/templates/
・Microsoft365 Create https://create.microsoft.com/ja-jp/templates/論文・報告書
セミナー/ウェビナーの内容をもとに構成し直す
過去に開催した自社セミナーやウェビナーなどの資料をもとに、ホワイトペーパー向けにアレンジする方法もあります。多くの場合、既存のコンテンツは十分な吟味を重ねて作成されているため、リサイクルして活用することで信頼性の高い資料を作成できるからです。
なお、完成したホワイトペーパーの一部をセミナー/ウェビナー資料に抜粋して使用したり、営業資料として活用したりする方法もあります。このように自社コンテンツを一度限りのものとして消費してしまうのではなく、編集したり切り出したりすることでさまざまな用途に活用していくことは、資料づくりを効率的に進める上で重要なポイントの一つです。
制作代行サービスを活用する
ホワイトペーパーの作成に必要なリソースを確保できない場合には、制作代行サービスを活用するのもおすすめの方法です。制作代行サービスによってはホワイトペーパーの企画をはじめ、調査・取材や構成、執筆デザインといった工程を一括して委託できるケースも少なくありません。
制作代行サービスを活用すると委託料がかかるものの、質の高いホワイトペーパーを比較的短期間で作成できる点は大きなメリットです。制作の省力化と質の担保を両立させたい事業者様は、制作代行サービスを活用してみてはいかがでしょうか。